エイトビット・ビッグバンド(The 8-bit Big Band)とは、ゲーム音楽を中心に演奏しているジャズ/ポップ・グループ。
メンバーは総勢65名に及び、その殆どはニューヨークで活躍するプロ・ミュージシャンである。
この大所帯のリーダーとして活躍しているのは、ロサンゼルス出身のチャーリー・ローゼン(Charlie Rosen)。
1990年生まれのチャーリーは、3歳からピアノを習い始め、15歳になる頃にはミュージカル・バンドへ加入し、プロの道を進み始める。
その2年後にはニューヨークへ渡り、ブロードウェイ劇場での活動を開始。
そこではピアノだけでなく、ギター、ベース、パーカッションなども演奏し、マルチプレイヤーとして活躍していたそうだ。
チャーリーを中心に結成されたエイトビット・ビッグバンド(The 8-bit Big Band)は、2018年から本格的にバンドとして活動を開始。ラジオ・コンサート等にも出演し、同年の5月にファースト・アルバムである『プレス・スタート!』(Press Start!)をリリースした。
収録曲は『スーパーマリオシリーズ』、『ゼルダシリーズ』、『がんばれゴエモン』、『エフゼロ』、『ファイナルファンタジー』など、古き良きゲーム音楽がズラリと並んでいる。レコーディングには総勢50名の一流ミュージシャンが参加。演奏技術はもちろん、編曲も素晴らしく、オリジナルとは違った最高のビッグバンド・アレンジを堪能することができる。
「ゲーム音楽」「ジャズ」「ビッグバンド」の要素を持つエイトビット・ビッグバンド(The 8-bit Big Band)のことを知りたい方は是非、彼らのファースト・アルバム『プレス・スタート!』(Press Start!)の購入を検討するとよいだろう。
購入方法については、バンドキャンプ(Bandcamp)を使用し簡単に入手することができる。
最低購入価格はまさかの0円スタート。素晴らしい品質のアルバムであるため、可能な限り敬意を込めた金額で購入していただくと、彼らの次の活動にも繋がるのではないだろうか。
『プレス・スタート!』(Press Start!)の購入はこちらから。
Press Start! - Track Listing
No. | Title | Writer | Solist | Length |
1. | Opening (Super Mario 64) | Koji Kondo | - | 0:40 |
2. | Bob-Omb Battlefield (Super Mario 64) | Koji Kondo | Andrew Gould(A. Sax), Jared Schoenig(Dr) | 3:47 |
3. | Overworld Theme (Super Mario Bro's 2) | Koji Kondo | Steven Feifke(Pf) | 3:29 |
4. | Athletic Theme (Super Mario World 2 - Yoshi's Island) | Koji Kondo | Felix Peikli(Cl), Benny Benack III(Tp), Jimmy O'Connell(Tb), Jared Schoenig(Dr) | 3:13 |
5. | Super Mario Bro's Mambo (Super Mario Bro's) | Koji Kondo | Anne Drummond(Fl), Benny Benack III(Tp), Jimmy O'Connell(Tb), Wilson Torres(Timp) | 4:40 |
6. | Lonely Rolling Star (Katamari Damacy) | Yu Miyake | Kaho Kidoguchi(Vo), Benny Benack III(Tp) | 5:43 |
7. | Zelda's Lullaby (Ocarina of Time) | Koji Kondo | Sarpay "Sharpeye" Ozcagatay(Fl) | 6:06 |
8. | Fourside (Earthbound) | Keiichi Suzuki | Chad Lefkowitz-Brown(T. Sax) | 5:05 |
9. | I Am Impact! (Mystical Ninja Staring Goemon) | Goemon Partnership | Gen Parton Shin(Vo), Jullian Pollack(Syth), Zac Zinger(Shakuhachi) | 3:45 |
10. | Big Blue (F-Zero) | Naoto ishida | Grace Kelly(A. Sax), Natalie Tennenbaum(Pf) | 3:37 |
11. | Final Fantasy 1 Main Theme | Nobuo Uematsu | - | 2:11 |
Background & Reception
OPを飾るのは、タイトルが示す通り『スーパーマリオ64』の冒頭で使用されている"Opening"。
ここから2曲目の"Bob-Omb Battlefield"へと続いていく。
この曲も『スーパーマリオ64』から選出された、コース1の「ボムへいのせんじょう」で流れるナンバー。
ビッグバンドらしいアンサンブル感に溢れた、軽快なアレンジだ。アルト・サックスのソロも非常に美しい。
"Overworld Theme"は、『スーパーマリオUSA』のフィールドで聴くことのできるスウィンギーな楽曲。
原曲をリスペクトしたアレンジで、ホーンセクションはもちろん、リズム隊の雰囲気作りも完璧だ。
また、ビッグバンドらしくグレン・ミラー(Glenn Miller)の"In the Mood"が組み込まれている箇所にも注目。
ちなみに『スーパーマリオUSA』は日本国外では『SUPER MARIO BROS. 2』というタイトルで発売されている。
1900年頃にアメリカで流行していたラグ・ライムを思わせる楽曲が"Athletic Theme"。
『ヨッシーアイランド』で流れる楽曲で、マリオ・シリーズの中でも人気の高いナンバーだ。
ここでの注目は、クラリネット奏者のフェリックス・ペイクリ(Felix Peikli)。
心地良いサウンドで楽曲を盛り上げ、ソロの部分ではメロディアスなフレーズを連発している。
5曲目"Super Mario Bro's Mambo"のタイトルだけ見ると「何の曲?」となってしまいそうだが、この楽曲は恐らく日本国民のほとんどが聴いたことがあるだろう。日本では「地上BGM」と呼ばれており、『スーパーマリオ』の1-1で流れる"あの曲"だ。
ここではサンバ調のアレンジが施され、原曲よりもリズミカルで滑らかなナンバーに仕上がっている。
トランペット、トロンボーンのソロ回しも流石の一言。
6曲目以降は、マリオ・シリーズから離れ、様々なゲーム音楽の曲が選出されている。
"Lonely Rolling Star"は、2004年にナムコから発売されたゲーム『塊魂』の楽曲。
当時CMでよく宣伝されていたため、タイトルを目にしたことのある人も多いだろう。
ここではボーカルとして木戸口歌穂を迎えており、暖かい雰囲気のある歌声を披露。
本アルバムで唯一のボーカル曲でもある。
7曲目には、ゼルダ・シリーズから『時のオカリナ』の「ゼルダの子守歌」をアレンジ。
海外では"Zelda's Lullaby"のタイトルで知られている。
メロディーを担当しているのはフルート奏者のサルペイ・オズチャータイ(Sarpay Özçağatay)。
原曲の幻想的なイメージを忠実に再現しており、心安らぐサウンドが印象的だ。
『MOTHER2』(国外のタイトルは『EarthBound』)の「魔天楼に抱かれて」のカバーが8曲目"Fourside"。
原曲は落ち着いた雰囲気のある楽曲だが、このアルバムでは軽快な楽曲に変化している。
"Super Mario Bro's Mambo"と同じく、サンバ・テイストがミックスされているため、ブラジル音楽を愛する方にもお勧めだ。
9曲目には、まさかの『がんばれゴエモン ~ネオ桃山幕府のおどり~』から「おれはインパクト」を選曲。
和風なテイストとビッグバンドのサウンドが融合した、なんとも不思議な楽曲だ。
ここではミュージカル等でも活躍している俳優ゲン・パートン・シン(Gen Parton Shin)がボーカルを担当。
原曲に負けない熱い歌声を披露している。
10曲目"Big Blue"は、キャプテン・ファルコンが主人公の『エフゼロ』から選ばれた、ロック・ナンバー。
ギターとホーンセクションのユニゾーンが非常にクールでブラスバンドとロックが見事に融合した素晴らしいアレンジだ。
サックス・ソロを演奏しているのは、バリトン・サックス奏者レオ・Pと活動を共にしているグレース・ケリー(Grace Kelly)。
素晴らしいテクニックを披露しており、アルト・サックス奏者は必聴のナンバーだ。
アルバムのラストは飾るのは、『ファイナル・ファンタジー・シリーズ』から"Final Fantasy 1 Main Theme"。
FFシリーズの中でも最も人気の高い楽曲のひとつであり、日本のゲーム音楽を代表する名曲でもある。
ここではビッグバンドアレンジを行わず、原曲を忠実に再現。
一流のプレイヤー達によるゲームの名曲を堪能できる、贅沢な時間だ。
Press Start! - Credit
チャーリー・ローゼン(Charlie Rosen)- ギター、ベース、アレンジ、プロダクション
木戸口歌穂(Kaho Kidoguchi)- ボーカル
ゲン・パートン・シン(Gen Parton Shin)- ボーカル
フェリックス・ペイクリ(Felix Peikli)- クラリネット
サルペイ・オズチャータイ(Sarpay Özçağatay)- フルート
アン・ドラモンド(Anne Drummond)- フルート
アンドリュー・ゴールド(Andrew Gould)- アルトサックス
メルセデス・ベックマン(Mercedes Beckman)- アルトサックス
ジョッシュ・プローナー(Josh Plotner)- アルトサックス
グレース・ケリー(Grace Kelly)- アルトサックス
ザック・ジンガー(Zac Zinger)- テナーサックス
ジョーダン・ペッティ(Jordan Pettay)- テナーサックス
サム・ディロン(Sam Dillon)- テナーサックス
チャド・レフコウィッツ・ブラウン(Chad Lefkowitz-Brown)- テナーサックス
為実 紗和(Sawa Tamezane)- バリトンサックス
アンドリュー・グタウスカス(Andrew Gutauskas)- バリトンサックス
ブライアン・デイビス(Bryan Davis)- トランペット
ジョン・レイク(John Lake)- トランペット
エリンケ・サンチェス(Enrique Sanchez)- トランペット
ジョーイ・ラム(Joey Lamb)- トランペット
ガブリエル・メッド(Gabriel Medd)- トランペット
クロエ・ローランズ(Chloe Rowlands)- トランペット
ベニー・ベナック・Ⅲ(Benny Benack III)- トランペット
アレックス・ジュエン(Alex Juen)- トロンボーン
ロブ・エドワーズ(Rob Edwards)- トロンボーン
ダライアス・クリスチャン・ジョーンズ(Darius Christian Jones)- トロンボーン
ジミー・オコネル(Jimmy O'Connell)- トロンボーン
ニック・グラインダー(Nick Grinder)- トロンボーン
ベッカ・パターソン(Becca Patterson)- バストロンボーン
ケビン・クー(Kevin Kuh)- バイオリン
赤星友子(Tomoko Akaboshi)- バイオリン
ラウィーニア・パヴリッシュ(Lavinia Pavlish)- バイオリン
フレデリック・グナマン(Frederique Gnaman)- バイオリン
ティア・アレン(Tia Allen)- ヴィオラ
ニア・フェルダー(Nir Felder)- ギター、バンジョー(Track 4)
アレックス・ウィンツ(Alex Wintz)- ギター
ジュリアン・ポラック(Jullian Pollack)- ピアノ、プロフェットシックス
ナタリー・テンネンバウム(Natalie Tennenbaum)- ピアノ
スティーブン・フェイフケ(Steven Feifke)- ピアノ
ジャリッド・ショニグ(Jared Schonig)- ドラム