Features

【独占インタビュー】ゲーム音楽の歴史に名を刻んだチャーリー・ローゼン(Charlie Rosen)。そしてエイトビット・ビッグバンド(The 8-Bit Big Band)の誕生秘話

第64回グラミー賞が行われた2022年4月3日、ゲーム音楽の歴史に新たな1ページが刻まれた。
グラミー賞のひとつである「最優秀インストゥルメンタル編曲賞」に、"Meta Knight's Revenge"(メタナイトの逆襲)のアレンジ曲が選ばれたのだ。

この曲は、1996年3月21日に発売されたスーパーファミコン対応のアクションゲーム『星のカービィ スーパーデラックス』で使用された楽曲。
現在でも『星のカービィシリーズ』や様々な場面で使用されている曲のため、耳にしたことのある人も多いだろう。

これまでに「最優秀インストゥルメンタル編曲賞」を受賞した人物は、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)、チック・コリア(Chick Corea)、ヘンリー・マンシーニ(Henry Mancini)、ゴードン・グッドウィン(Gordon Goodwin)、ジョン・ウィリアムズ(John Williams)と、レジェンド達がズラリと並んでいる。
ここに今回、"Meta Knight's Revenge"(メタナイトの逆襲)のアレンジを行ったチャーリーローゼン(Charlie Rosen)も加わることになったのだ。

チャーリー・ローゼン(Charlie Rosen)は、ゲーム音楽をカバーするグループ、 エイトビット・ビッグバンド(The 8-Bit Big Band)のリーダー。
今回はトロロピザ・ミュージック独占で、チャーリーの生い立ち、エイトビット・ビッグバンドの結成秘話、アレンジについて、ゲーム音楽に対する熱い想いなどを語ってもらった。

――まずは簡単な自己紹介をお願いできますでしょうか。

Charlie:もちろん。
僕の両親はどちらも音楽家で、母はファゴット奏者、父がオルガン・ピアノ奏者だった。
だから、生まれた時から音楽が身近にあったんだよ。
3歳からピアノを始め、他にもフルートやチェロのレッスンも受けていたね。

ギター、ベース、ドラムも演奏するようになったんだけど、それは10歳ぐらいかな。
高校では音楽を専攻して、そこからジャズに興味を持ち始めたんだ。
ビッグバンドにも入って、そこではドラムをプレイしていた。
この頃からゲーム音楽を演奏することもあったね。

それで17歳の時にニューヨークへ移り、ブロードウェイの仕事を始めた。
ここでの役目は奏者ではなく、編曲やオーケストレーションがメインだね。
それから暫くして、エイトビット・ビッグバンド(The 8-Bit Big Band)を立ち上げることになったんだ。
これが(自己紹介の)ショートバージョンかな。

――ありがとうございます。
高校ではジャズ音楽を専攻されていたのですか?

Charlie :その通り。
僕は音楽高校に通っていて、ジャズコンボグループやビッグバンドも沢山あった。
その後にボストンにあるバークリー音楽大学にジャズベーシストとして入学したんだ。
だから僕の本職はベーシストなんだよ。

――プロフェッショナルとして活動し始めた後にバークリー音楽大学へ入学したのですか?

Charlie:そうなるかな。
17歳からニューヨークで音楽の仕事を始めて、その2年後ぐらいに入学したから。
これはラッキーだったんだけど、ブロードウェイにティーンエイジャーがメインのミュージカルがあったんだ。
キャストもオーケストラ・メンバーも10代が中心で、それに選ばれたからNYに行くことができたんだよ。

――プロを目指し始めたのはいつ頃から?

Charlie:それは16歳のときだね。
ベースプレイヤーになると誓って、そこから本気で練習を始めた。

――作曲や編曲もその頃から始めたのでしょうか?

Charlie:高校の時から自分のビッグバンド用に編曲をし始めたのが最初かな。
バークリー音楽大学に入ってからは、アレンジや音楽理論を学びながら(編曲する)量が増えていった感じだね。

――1番始めにプレイしたテレビゲームは、どのタイトルでしょうか?

Charlie:始めてプレイしたのは、『スーパーマリオ64』。
※任天堂が1996年6月23日に発売したNINTENDO64用のアクションゲーム。

ゲームも面白いし、音楽も良くて、僕に大きな衝撃を与えた。
実は高校の時に"Bob-omb Battlefield"(邦題:ボムへいのせんじょう)をアレンジしたことがあるんだ。
あんまり良くない編曲だったかもしれないけどね。
エイトビット・ビッグバンドのウェブサイトに掲載しているバージョンは、大人になってアレンジしなおしたものだから、大分良くなってるよ。

NINTENDO64は、僕の一番好きなコンソール(家庭用ゲーム機)なんだ。
皆自分に思い入れのあるゲーム機があると思うけど、僕の場合はそれがNINTENDO64。

――だからエイトビット・ビッグバンドでは沢山の『スーパーマリオシリーズ』をアレンジしているのですね。

Charile:そのとおり。
NINTENDO64が好きだから、それに関連する曲を選ぶようにしているんだ。

チャーリーが初めてアレンジを行った"Bob-omb Battlefield"(邦題:ボムへいのせんじょう)
※このアレンジは高校時代のものではなく、エイトビット・ビッグバンド用にリライトされたバージョン。

――70種類以上の楽器を演奏できるという情報もありますが、本当でしょうか?

Charile:それはちょっと正確じゃないかな。
僕の自宅には70以上の楽器があって、それのことだね。
同じ種類の楽器もあるから、「70種類以上の楽器が演奏できる」とは言わないかも。

――理解しました。ただ沢山の楽器を演奏できるのは事実ですよね。
あなたが「A列車で行こう」 (Take the 'A' Train) を演奏しているのを聞きましたが、素晴らしい完成度でした。
※インタビュー以前にFacebook上でビッグバンドの全パートを一人で演奏したものを投稿していた

Charile:ありがとう!
ギター、ベース、ドラム、ピアノはもちろん、サックス、トランペット、チューバ、トロンボーン、フレンチホルン、チェロやフルートはプレイできるかな。
プロフェッショナルではない楽器もあるけど、レコーディングであれば何回もテイクが取れるからね。

――なぜそんなに多くの楽器を演奏できるのですか?

Charile:さっきも言ったとおり、母がファゴット奏者でフルートやクラリネット、サックスとか色々な楽器が家にあったから、気軽にプレイしてたんだ。
それも9歳とか10歳のころだったかな。

チャーリーが全ての楽器を一人で演奏している"Summertime"。どのインストルメントでも素晴らしい技術を発揮している。

――それではここからはエイトビット・ビッグバンド(The 8-Bit Big Band)についての質問をさせていただきます。
まずは結成秘話をお聞かせいただけますか?

Charile:了解。
これから話すことは殆どの人が知らないストーリーだよ。

2017年頃かな、京都へ観光にいったことがあって、その時に三味線を買ったんだ。
それで弾き方を学びたくて東京へ向かい、ザック・ジンガー(エイトビット・ビッグバンドのサックス&尺八奏者)の友人である沖政一志さんを紹介してもらった。
※沖政一志さんは三味線、琴奏者。ゲーム音楽を和楽器のみで演奏するグループ『ファミ箏』のリーダーとしても活躍中

彼の自宅でレッスンを受けたんだけど、素晴らしい人だった。
そのあと、彼がゲーム音楽をカバーしたアルバムをくれたんだけど、それを聞いたときに「超かっこいい!」って思ったんだよ。
帰りの飛行機の中で「僕もゲーム音楽をアレンジした楽曲を制作したい!」って感じたんだ。
僕は編曲者だし、ミュージシャンの知り合いも沢山いるから、それが可能だしね。
だから、沖政一志さんが僕をインスパイアしてくれたんだ。
そして日本旅行から帰ってきて、すぐにアレンジを開始した。
エイトビット・ビッグバンドが結成したのも2017年だよ。

ちなみにそのあと日本を訪れたのは、デイヴィッド・フォスター(David Foster)のベーシストとして来日した2018年。
ブルーノート東京で演奏させてもらったよ。
次は是非、エイトビット・ビッグバンドでプレイさせてもらいたいね。

沖政一志さんがリーダーを務めるファミ琴(FAMIKOTO)による"Nintendo Medley"。『ファイヤーエンブレム』、『ゼルダの伝説』、『スーパーマリオシリーズ』の楽曲を演奏している。

――素晴らしいストーリーですね。
では、どのような想いでエイトビット・ビッグバンドを立ち上げたのでしょうか。

Charile:素晴らしい質問だ。

現代を生きる僕達には、歴史に残る名曲達のソングブックがある。
ジャズスタンダードや、ブロードウェイショーで使われる楽曲、映画音楽、アメリカン・ソングとかだね。
僕達は、昔から愛されている音楽をカバーやアレンジしたりして楽しんでいるワケだ。
特にジャズなんかはそうだよね。
全ての音楽は、「体験」からきている。
例えば、ブロードウェイを見て「この音楽が好きだ」とか、映画を見て「この音楽が好きだ」とかそういった感じだね。
昔のジャズミュージシャンは、気に入った楽曲をアレンジして、僕達はそれをベースにスタンダードとして演奏している。
※ジャズにはスタンダードと呼ばれる定番曲が多数あり、それらは映画音楽で使用された楽曲が多い

ゲーム音楽で言えば、それが誕生してからもう30年以上が経過している。
そして現在、僕達が育ちながら聞いたゲーム音楽のソングブックがあるわけだ。
これは、ブロードウェイショーや映画を見ながら育ってきた初期のジャズアレンジャー達と状態だよね。
ということは、フランク・シナトラやエラ・フィッツジェラルド、クインシー・ジョーンズらが映画音楽をジャズスタンダードへ導いたように、ゲーム音楽でも同じことができるんだ。
なぜなら僕達には、偉大な作曲家達が積み上げてきたゲーム音楽の大きなカタログがあるから。

最近ではオーケストラ団体がゲームミュージックを演奏することはそこまで珍しくないけど、クラシカルなスタイルが多いよね。
ネルソン・リドル(Nelson Riddle)みたいなアレンジで演奏する団体は少ない。
※フランク・シナトラ、ナット・キング・コール等の楽曲をアレンジした偉大な編曲家

でも、ビッグバンドやポップス、アドリブソロがあったり、スペシャルゲストをフィーチャーしたり、カウント・ベイシー楽団のような要素をゲーム音楽に詰め込んでもいいんだよ。
そういった他の人がやっていないことを、僕がチャレンジしているんだ。

少しだけ違う話になるけど、僕が東京にいるときに一度ジャムセッションに参加したことがある。
たしか、高田馬場にある『イントロ』(Intro)だったかな。
ジャズセッションに行くと曲をコールするよね?
"If I Were a Bell"、"All The Things You Are"とかさ。
同じことをゲーム音楽でもできるんだ。
例えば、ゲームフェスティバルがあって、そこでジャムセッションがあったら、「Bob-omb Battlefieldやろうぜ」とか「Spring Yard Zoneはどうだ?」とかさ。
彼らはもうゲーム音楽の"スタンダード"になったんだよ。

クレイジーなことに、僕がアレンジした"Bob-omb Battlefield"は、高校や大学でもプレイされていて、クリニックやレッスンも行ったりしてるんだ。
その最後には「このゲームが発売された時に生まれてた人は?」って聞くんだけど、誰もいないんだよ。
なぜなら彼らはまだ子供だからね。(笑)
それでも、曲は好きなんだ。
これは"All the Things You Are"を好きなことと一緒だよね。
※ジャズスタンダードの名曲。1939年にジェローム・デヴィッド・カーン(Jerome David Kern)によって作曲された

僕たちはこの曲が書かれた時はまだ生まれていないけど、それでも曲を知っていて、今でもプレイしている。
これをゲームミュージックでも出来るんだ。
ゲーム音楽はそれ自体で独立していて、今では「音楽」として扱われているってことだよね。

the8bitbigband-performance-a
エイトビット・ビッグバンドでライブを行っている様子。チャーリーのパックマンを模したギターが特徴的だ。

――ゲーム音楽を愛する私にとって、涙が出るような回答でした。
エイトビット・ビッグバンド(The 8-Bit Big Band)のメンバーはどのように集めたのでしょうか?

Charlie:ラッキーなことに、僕はNYに10年以上住んでいて、ブロードウェイの仕事もしているし、ジャズライブもやってるから演奏家の知り合いも多いんだ。
特に『プレス・スタート!』(Press Start!)をリリースしてからは、ミュージシャンの方から連絡がくることも増えたね。
「ハイ、僕もゲームミュージックが好きなんだ。NYに住んでいてバイオリンを弾いているんだけど、もし必要な時は呼んでね!」とかさ。
だから、ゲーミング・ジャズ・ミュージシャンも増えた。クールだよね。

――羨ましいです。
正直言って、ここ日本ではジャズとゲーム音楽の両方を愛している音楽家は少ないように思います。

Charile:それは驚きだね。日本でそういった人材を探す方が簡単かと思っていたよ。

チャーリーとも交流が深い木戸口歌穂さんがボーカルを務めた"Lonely Rolling Star"。2004年3月18日にナムコから発売された『塊魂』の楽曲である。

――エイトビット・ビッグバンド以外の活動はどのようなことを行っているのでしょうか?

Charile:ブロードウェイでの仕事が多いかな。
ミュージックで使用される楽曲のアレンジとオーケストラ、コンダクティングがメインだね。
17歳から仕事はしていて、19歳でバークリー大学に入学したけど、働きながらだったからボストンとニューヨークを行き来していたよ。
でも仕事が忙しくなったので、2年ぐらいで大学はやめたんだ。
あとはたまに映画やTVショーの音楽もあるかな。
そういったそれまでの経験を全て、エイトビット・ビッグバンドのアレンジに活かしているよ。
ブロードウェイは色々なジャンルの音楽があるし、それぞれのショーで異なる音楽が必要なんだ。
ゲーム音楽も同じで、それぞれのゲームや場面に適した音楽を求めているよね?
だから、似たスキル(アレンジ力)が必要なんだ。

――あなたのビッグバンドからは、ジャズの要素を強く感じます。

Charile:そうだと思う。
最近のジャズは、沢山のサブジャンルに分けられるよね。
初期のストレートアヘッドなものからジャズファンク、ゴスペルジャズとかさ。
僕はそれを全部カバーするようには心掛けているかな。
面白いことに、エイトビット・ビッグバンドでは意外とカウント・ベイシー楽団みたいなスウィング系の曲は少ないんだよね。

――バンド結成の以前からゲーム音楽のアレンジは行っていたのですか?

Charlie:いや、最初に話した高校の時の"Bob-omb Battlefield"だけ。
ゲーム音楽は好きだったけど、こういうことをするとは思ってなかった。
本格的に始めたのは、2017年の日本旅行から帰ってきたときから。
そこから"Bob-omb Battlefield""Big Blue (F-Zero)""Fourside (Earthbound)"とか1stアルバムに収録されているナンバーをアレンジし始めた。
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の"Zelda's Lullaby"とかもそうだね。
『がんばれゴエモン』の"I Am Impact! "も。この曲はみんな知らないかもだけど(笑)

SFC「F-ZERO」より、"Big Blue"。サックスソロはグレース・ケリーによるもの。

――1曲のアレンジを完成させるのに、どのぐらい時間がかかるのでしょうか?

Charile:もちろん曲によるけど、2種類の回答があるかな。

まずひとつは、アイデアがすぐに浮かんでくるパターン。
例えば、テトリスのアレンジでは「ピョートル・チャイコフスキーやロシア民謡のメロディーを盛り込んでみよう!」とかね。
その場合は6~7時間ぐらいで完成するかな。

もうひとつは、時間をかけながら作るパターン。
「Bセクションはどうしようかな?」とか考えて、一旦時間を置いてまた取り掛かるとかね。アイデアが浮かんでくるまで1ヵ月とかかかるものもある。

問題なのは、"ビッグアイデア"が必要ということ。
ビッグアイデアっていうのは、言葉で表現出来るようなはっきりとしたものだね。
エイトビット・ビッグバンドの"When You Gone"は、フランク・シナトラを意識したものだし、"Rosalina in the Observatory"は、マイルス・デイビスが"Someday My Prince Will Come"で披露したスタイルに近いものがある。
アレンジの前には、そういったビッグアイデアが必要なんだ。
それが6~7時間だったり、1ヵ月だったりするわけだね。

2007年11月1日に発売されたWii専用ゲームソフト『スーパーマリオギャラクシー』より、"Rosalina in the Observatory"

――編曲を行う際に、何か拘りはありますか?

Charlie:エイトビット・ビッグバンドで編曲するときは、ゲーム音楽に敬愛を示し、そして新しいことにもチャレンジしたい。
それがこのバンドが他とは違うスペシャルな理由のひとつでもあるから。

アレンジャーの役割は、オリジナルには無い可能性を見出して、変化させることだ。
「この音や楽器は入ってないけど、加えたらどうなるかな?」とかね。
僕がアレンジする時に意識しているのは、曲自体が独立して、それ単体で旅ができるようにすること。
そのゲームをプレイしていなくても、聞いて興奮できるような音楽にしたいんだ。
その曲を聞いたことがある人はオリジナルを知っている訳だから、そこから更にエキサイティングなものにすることも意識しているよ。

ファミコンとか昔のゲーム音楽をアレンジするときに大変なのは、人がプレイするように作られていない曲やフレーズがあることだね。
すごく早いアルペジオの曲があったり、人間では演奏できないようなフレーズがあったりするんだ。
僕のチャレンジのひとつは、そういった音楽をどのようにミュージシャンが演奏可能な譜面に落とし込むかだ。
作曲者の意図を理解して、それをどのように次のレベルまで持っていくかを意識しているよ。

――素晴らしいですね。4thアルバムのリリース予定はありますか?

Charlie:いま制作中だよ。
現時点では、5曲レコーディングが完了している。
『マリオカート』や『ゼルダの伝説』、『FF7』の「ティファのテーマ」のアレンジもあるよ。あとはペルソナの曲もあるね。
全部で11~13曲ぐらいになるかな。

――リリースが待ち遠しいです。日本に来る予定はありますか?

Charile:今はないけど、早く行きたいね。
僕の夢は、エイトビット・ビッグバンドを率いてサントリーホールで演奏することなんだ。
ファミコン・ソフトのゲーム音楽から始まって、Nintendo Switchのミュージックでエンディングが出来たら最高だよね。

――好きなミュージシャンや作曲家はいますか?

Charile:数えきれないなぁ。
カウント・ベイシー、デューク・エリントン、ネルソン・リドル、クインシー・ジョーンズ、オスカー・ピーターソン、ジョー・パス、ジョン・コルトレーン、マイルス・デイビス、ピョートル・チャイコフスキー、フレデリック・ショパン、レッド・ツェッペリン、ロック音楽も好きだし、これまでにスカも演奏してきたから、そのジャンルも好きだ。
チャカ・カーンもいい。
ルーサー・ヴァンドロスやサンダーキャットもお気に入りだし、いろんなジャンルが好きだから、選ぶのが難しいね。
ベーシストで言えば、ジャコ・パストリアスやジョン・パティトゥッチ、レイ・ブラウン、ポール・チェンバース、ロン・カーターとかかな。

――日本の作曲家では?

Charile:一番始めに挙がるのは、やっぱり近藤浩二さんだね。
僕は任天堂が本当に大好きだし、彼は本当にレジェンドだよ。
リミットがあるテクノロジーであそこまで素晴らしい曲を作るなんて信じられない。
あとは下村陽子さん、戸高一生さん、植松伸夫さん、石川純さん、増田順一さん、田中宏和さんも好きだね。

エイトビット・ビッグバンドとして初めて公開した『ヨッシーアイランド』のBGM"Athletic Theme"。作曲はもちろん近藤浩治さん。

――好きなビデオゲームはありますか?

初めてプレイしたゲームは、『スーパーマリオ64』。
※任天堂が1996年6月23日に発売したNINTENDO64用のアクションゲーム。

もし最も好きなゲームを選べと言われたら、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』かな。
物語も音楽も素晴らしい。ゲームプレイも最高だ。
あとは『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』も同じぐらい好きだね。
ゼルダの曲も4thアルバムにあるよ。
マッコイ・タイナーの”My Favorite Things”みたいなアレンジに仕上がっているから、楽しみにしてて。

1991年11月21日にSFC版で発売された『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』より、"Zelda's Lullaby"(邦題:ゼルダの子守唄)。もちろん、エイトビット・ビッグバンドによるプレイだ。

――グラミー賞を獲得した時の感想はどうでしょうか?

Charile:言葉にするのが難しいね。本当にクレイジーで、凄く嬉しかった。
インクレディブルで、正気じゃない感じがしたね。

ゲーム音楽はニッチで、メインストリームじゃないからさ。
音楽的に最も権威のある賞を獲得できたのが「ワォー」って感じだった。(笑)

――グラミー賞を獲得した"Meta Knight's Revenge"(メタナイトの逆襲)には、ボタン・マッシャー(Button Masher)もアレンジャーとして参加していますよね?

Charile:その通り。
基本敵には僕が全部アレンジしているのだけど、2曲だけ一緒にアレンジしたものがあって、"Meta Knight's Revenge"(メタナイトの逆襲)もそれなんだ。
ボタンがこのアレンジで行ったことは、原曲の音色をMIDIキーボードに落とし込んで、その音色を使いながらリハーモナイズしてコード進行を作っていった感じだね。
それを僕がフルオーケストラにしたんだ。
あとはイントロ、インタールード、アウトロとかも僕が考えたかな。
だから、あれは僕達二人がアレンジした作品なんだ。

第64回グラミー賞にて「最優秀インストゥルメンタル編曲賞」を受賞した"Meta Knight's Revenge"(メタナイトの逆襲)のアレンジ曲。

――二人と素晴らしいミュージシャン達によって獲得した賞ということですね。
今後はゲーム音楽を担当したい気持ちはありますか?

Charile:もちろん。それは僕のゴールだね。
是非挑戦させてもらいたい。

――YouTubeに投稿されている動画は、どれも素晴らしいアニメーションが追加されていますが、専属のアニメーターがいるのでしょうか?

4~5名の素晴らしいアニメーターに協力してもらっているよ。
まずはレコーディングの動画を撮影して、編集したものをそれを彼らに送るんだ。
そこからどのようなアニメーションを加えるか相談しながら進めていく感じかな。
1つの動画を完成させるのに3ヵ月ぐらいかかっちゃうんだけどね。(笑)

キャプテン・ファルコンが主人公を務める『エフゼロ』からは"Big Blue"を選曲している。ソロパートを務めるのは、バリトン・サックス奏者レオ・Pと活動を共にしているグレース・ケリー(Grace Kelly)。

――ビッグバンドのゲーム音楽と言えば『カップヘッド』(Cuphead)が有名ですが、プレイしたことがありますか?

あるよ。あれやったことある?
めちゃくちゃ難しいよね。(笑)
でもサウンドトラックはクールだ。
時々カップヘッドのアレンジをしてほしいって連絡が来るんだけど、「もうアレンジしなくてもビッグバンドじゃん!」って話をするんだ。(笑)
でもあのゲームが有名になってくれて嬉しいね。
ビッグバンドに再び注目が集まるきっかけにもなったワケだし。

『カップヘッド』(Cuphead)の制作会社であるStudio MDHRより"High Seas Hi-jinx!"のレコーディング風景。

――最近プレイしているゲームはありますか?

最近は『アウターワイルズ』(Outer Wilds)をプレイしているよ。
『アウター・ワールド』(The Outer Worlds)ってゲームもあるんだけど、そっちじゃない。(笑)
『FINAL FANTASY VII REMAKE』も楽しかったね。
『サブノーティカ』(Subnautica)、『ペルソナ5』も良かったな。
あと、エイトビットバンドのショーの後ろでは、いつもメンバーの誰かが『大乱闘スマッシュブラザーズ』をやってるよ。(笑)

エイトビット・ビッグバンドが有志でメンバーを募り作成した『大乱闘スマッシュブラザーズ』のテーマ曲"Super Smash Bros Ultimate Main Theme"

――ありがとうございます。
今回のインタビューは以上になります。
最後に、日本のゲーム音楽ファンにコメントをお願いいたします。

このグラミー賞受賞がきっかけで、多くの人達がゲーム音楽に興味を持ってくれることを願うよ。
ゲームミュージックは、素晴らしい芸術形式のひとつだ!

『星のカービィシリーズ』で最も有名な曲と言っても過言ではない「激突! グルメレース」のアレンジ曲。
インタビュアー紹介

前田貴昭

【プロフィール】
1990年宮崎県生まれ。
父親の影響で15歳からギターを始める。
海外の音楽を肌で感じるため、20歳でロンドンへ留学。
現地で知ったジャンゴ・ラインハルトの影響でジャズを学び始め、イギリス国内のバーやパブで演奏を行う。
帰国後は都内や関東地方のイベントにて、ボーカル、バイオリン、管楽器とのデュオ演奏、ソロギターライブを行うなど様々な編成で活動中。
また、企業への楽曲提供、ギターのトラック提供にも取り組んでいる。
海外のミュージシャンとも交流が深く、国内外問わず数多くのアーティストと共演。
2019年より、浅葉裕文氏に師事。

-Features
-, , , , , ,

© 2022 Tororopizza Music Magazine