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世界最高峰のバイオリニストとギタリストが生み出したデュオ・アルバム『デュエット』(Duet)- ステファン・グラッペリ(Stéphane Grappelli)& バッキー・ピザレリ(Bucky Pizzarelli)

『デュエット』(Duet)- ステファン・グラッペリ(Stéphane Grappelli)& バッキー・ピザレリ(Bucky Pizzarelli)

『デュエット』(Duet)は、ステファン・グラッペリがバッキー・ピザレリとコンビを組み、1979年にリリースしたアルバムである。
今作を紹介する前に、ジャズ界の歴史に名を刻んだ両名について簡単に説明しておこう。

ステファン・グラッペリ(Stéphane Grappelli)は、1908年1月26日フランス生まれのバイオリニスト。
12歳の頃から路上でバイオリンの演奏を開始し、日銭を稼いで家計を助けていた。
15歳になるころにはプロフェッショナルとして活動を始め、その11年後にジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt)とフランス・ホット・クラブ五重奏団を結成。
ステファンはこのグループで数多くの名演を残し、「世界一のジャズバイオリニスト」として認知されるようになった。

その後、ステファンはバーニー・ケッセル(Barney Kessel)、ポール・サイモン(Paul Simon)、オスカー・ピーターソン(Oscar Peterson)、コール・ポーター(Cole Porter)、ジョー・パス(Joe Pass)、マーティン・テイラー(Martin Taylor)らと共演。
亡くなる1997年まで精力的に活動を行い、ジャズ界には欠かせない人物として歴史に名を刻んだ。

バッキー・ピザレリ(Bucky Pizzarelli)は、1926年1月9日ニュージャージー州出身のギタリスト。
ギターとバンジョーを弾く叔父の影響で9歳のころからギターを手にし、10代半ばでプロとしてのキャリアを開始する。
1952年にはNBC TVの専属ミュージシャンとなり、ライブやスタジオ・ワークにて様々なジャンルをプレイし、技術を高めていった。

バッキーは43歳になる年、グレッチ製の7弦ギターを演奏するジョージ・ヴァン・エプス(George Van Eps)のステージをみて大きな感銘を受ける。
それ以降、彼は7弦ギターを使用するようになり、『レッド・ドア』(The Red Door)、『マンハッタン・スウィング』(Manhattan Swing: A Visit With the Duke)、『ファミリー・フーガ』(Family Fugue)など多くの名盤を残し、亡くなる2020年まで7弦ギターの第一人者として活躍し続けた。

さて、ここからはアルバムの紹介に移っていこう。

この作品のレコーディングが行われたのは、フランスにあるアレーヌ・ド・シミエ庭園のオリーブの木の下。
無観客で音源には打ち合わせの会話も含まれているため、まるでベテラン二人のセッションを隠れて聴いているような感覚だ。

また、アンプを使用しておらず、マイクを立てて生音を収録しているのも嬉しいポイント。
このおかげで、バイオリンの品のあるサウンドとブラックナイロン弦の暖かい音色を素材のまま楽しむことができる。
アコースティックなサウンドを好む方にはたまらないアルバムとも言えるだろう。

前述したとおり、このアルバムが収録されたのは1979年。
ステファンは71歳、バッキーは53歳になる年である。
しかし、本作では勢いのある楽曲が多く収録されており、年齢を感じさせないフレッシュなプレイを披露。

「年を重ねても素晴らしい作品の残すことができる。」

そんなことを改めて認識させられるアルバムでもあるのだ。

Duet - Track Listing

No.TitleWriterLength
1.There's A Small Hotel (take 1)3:21
2.Faux Depart0:15
3.There's A Small Hotel (take 2)3:25
4.Tangerine (alternate take)3:36
5.Tangerine (master take)3:31
6.My Blue Heaven (alternate take)3:08
7.My Blue Heaven (master take)3:18
8.Dialogue 10:18
9.The Folks Who Lives On The Hill3:42
10.Dialogue And Rehearsal1:30
11.Alabamy Bound2:59
12.Willow Weep For Me3:42
13.Blues5:04
14.Have You Met Miss Jones (false start)0:31
15.Have You Met Miss Jones (take 1)2:51
16.Have You Met Miss Jones (take 2)3:16
17.Dialogue 20:08
18.My One And Only Love3:54
19.I'll Remember April (false start)0:44
20.I'll Remember April (master take)3:49
21.Black Bottom (rehearsal)1:08
22.Black Bottom (master take)3:14
23.This Nearly Was Mine2:01
24.Dialogue 30:07
25.Tea For Two4:01

Duet - Credit

ステファン・グラッペリ(Stéphane Grappelli)- バイオリン
バッキー・ピザレリ(Bucky Pizzarelli)- ギター

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