幼い頃からジャズスタンダードを聞いて育ち、プロのシンガーとして生きていくことを夢見ていたカナダ出身のアーティスト、マイケル・ブーブレ(Michael Bublé)。その夢が叶ったのは、マイケルが28歳になる年だった。
首相の側近を務めていたマイケル・マックスウィーニー(Michael McSweeney)がビジネスパーティーにて、マイケルのパフォーマンスを観覧。その際、ブーブレが自費で作成したアルバムを受け取り、これを当時のカナダ首相であったブライアン・マルルーニー(Brian Mulroney)とその妻に聞かせた。すると2人はこれをいたく気に入り、娘のキャロライン(Caroline)の結婚式にマイケルを招待することにした。そこでブーブレはジャズスタンダード・ナンバーの"Mack the Knife"を披露。その式に参加していた音楽プロデューサーのデイヴィッド・フォスター(David Walter Foster)が彼の歌声に感動し、マイケルをスカウトすることとなった。
そして2003年2月、マイケルは143 レコード(143 Records)から、自身の名をタイトルに掲げたデビューアルバム『マイケル・ブーブレ』(Michael Bublé)を発表。まだ無名の新人であったにもかかわらず、その高い実力は、すぐに世界中から注目を集めた。リリース直後から売り上げを伸ばし続け、イタリア・オーストラリア・イギリスなど、複数の国でプラチナディスクを獲得。売上総枚数は400枚以上を突破し、商業的にも大成功を収めたデビュー作となった。
Michael Bublé - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
1. | Fever | Eddie Cooley, John Davenport | 3:51 |
2. | Moondance | Van Morrison | 4:13 |
3. | Kissing a Fool | George Michael | 4:34 |
4. | For Once in My Life | Ron Miller, Orlando Murden | 2:32 |
5. | How Can You Mend a Broken Heart" (featuring Barry Gibb) | Barry Gibb, Robin Gibb | 3:54 |
6. | Summer Wind | Heinz Meier, Johnny Mercer | 2:55 |
7. | You'll Never Find Another Love like Mine | Kenneth Gamble, Leon A. Huff | 4:04 |
8. | Crazy Little Thing Called Love | Freddie Mercury | 3:09 |
9. | Put Your Head on My Shoulder | Paul Anka | 4:26 |
10. | Sway | Pablo Beltrán Ruiz, Norman Gimbel | 3:08 |
11. | The Way You Look Tonight | Jerome Kern, Dorothy Fields | 4:37 |
12. | Come Fly with Me | Jimmy Van Heusen, Sammy Cahn | 3:20 |
13. | That's All | Alan Brandt, Bob Haymes | 3:59 |
Background & Reception
1曲目はエディ・クーリー(Eddie Cooley)とオーティス・ブラックウェル(Otis Blackwell)が1956年に作曲した"Fever"。この曲はジャズスタンダード・ナンバーとして広く知られており、ジャズを愛するマイケルらしい選曲と言える。
次の"Moondance"は1970年にアイリッシュシンガーのヴァン・モリソン(Van Morrison)によって書かれた曲。リリースされてからこれまでに100組以上のアーティストにカバーされている人気の高い曲だ。ビッグバンドをバックにムーディーに歌い上げるマイケルの姿は、彼の敬愛するフランク・シナトラ(Frank Sinatra)を彷彿とさせる。
1965年に作曲された"For Once in My Life"は、トニー・ベネット(Tony Bennett)やスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)もカバーしたミッドテンポのラブソング。原曲の良さを活かしたストレートなアレンジだ。
7曲目はイギリスの伝説的ロックバンド、クイーン(Queen)が生んだ"Crazy Little Thing Called Love"をカバー。原曲を崩さないためか、他の曲と比べるとビッグバンドアレンジは控え目となっている。
メキシコ出身の作曲家であるルイス・デメトリオ(Luis Demetrio)によって書かれた"Sway"は、ラテン音楽らしい情熱的なナンバー。マイケルはイタリア人の血が流れているためか、作品の中でラテンミュージックが含まれていることが多い。今回の"Sway"は原曲を超えるほどに素晴らしいクオリティーを誇っている。
"Come Fly with Me"は1958年にフランク・シナトラ(Frank Sinatra)が歌ったことで有名となったポップソング。日本でも映画やドラマで使用されている為、聞いたことのある方も多いのではないだろうか。イージーリスニングを代表するこの曲を、更に軽やかに歌い上げている。
Michael Bublé - Credit
マイケル・ブーブレ(Michael Bublé)- ボーカル
バリー・ギブ(Barry Gibb)- ボーカル
デイヴィッド・フォスター(David Foster)- ピアノ、シンセサイザー、ベース、アレンジャー
ディーン・パークス(Dean Parks)- ギター
ヴィニー・カリウタ(Vinnie Colaiuta)- ドラム
ラファエル・パディーラ(Rafael Padilla)- パーカッション
ネイル・デヴァー(Neil Devor)- シンセサイザー、プログラミング
フランク・カップ(Frank Capp)- ドラム
ジョン・ピサーノ(John Pisano)- ギター
デイビット・ボルフ(David Boruff)- サックス
マイク・メルヴォイン(Mike Melvoin)- ピアノ
ブライアン・ブロンバーグ(Brian Bromberg)- ベース
ゲイリー・グラント(Gary Grant)- トランペット
ランディ・ウォルドマン(Randy Waldman)- キーボード、ピアノ
ジョー・ラバーベラ(Joe LaBarbera)- ドラム
ヘイター・ペレイラ(Heitor Pereira)- ギター
ボブ・シェパード(Bob Sheppard)- サックス
デイブ・タル(Dave Tull)- ドラム
フェリペ・エルゲタ(Felipe Elgueta)- シンセサイザー、プログラミング
マイケル・トンプソン(Michael Thompson)- ギター