クラリネットの名曲”鈴懸の径”を収録したジャズ・アルバム『メロディアス・タイム』（Melodious Time）- 鈴木直樹（Naoki Suzuki）& エディ・ヒギンズ（Eddie Higgins）

『メロディアス・タイム』（Melodious Time）は、2007年に鈴木直樹（Naoki Suzuki）がリリースしたジャズ・アルバムである。

祖父にクラリネット奏者として名を馳せた鈴木章治を持つ鈴木直樹は、幼少の頃より独学でクラリネットを開始。独学と言いつつも、叔父、また父である鈴木正男の演奏を傍らで聴いて育ち、徐々にその実力を高めていった。

高校は東京音楽大学付属高校にてクラリネットを専攻し、クラリネット奏者である佐野博美氏、内山洋氏に師事。松本英彦氏からはサックスのレッスンを受け、サックス・プレイヤーとしての活動も開始する。

プロになってからは山下洋輔、北村英治、ヴォーカルペギー葉山、菅原洋一、阿川泰子、井上芳雄、二胡ジャー・パンファン、チェン・ミンらと共演。また日本を代表するビッグバンドである角田健一ビッグバンドのサックス兼クラリネット奏者として活躍を続けている。

今回紹介する『メロディアス・タイム』（Melodious Time）の大きな特徴は2つある。

まず一つは、世界的に有名なジャズ・ピアニスト、エディ・ヒギンズ（Eddie Higgins）がゲストとして参加していることだ。
エディは所謂”日本人好み”なフレージングを得意とし、本国アメリカよりもここ日本での方が評価の高いピアニスト。彼のメロディアスでストレートなソロは、我々の想像する「ジャズの音色」を完璧に再現していると言っても過言ではないだろう。
本アルバムでもその力を遺憾なく発揮しており、エディお馴染みのフレーズが連発されているため、彼のファンにもお勧めできる作品と言えるだろう。

そしてもう一つの特徴が、鈴木章治の代表曲”鈴懸の径”が収録されている点。しかもこれをプロのクラリネット奏者である父、鈴木正男とデュエットしているのだ。
元々この曲は佐伯孝夫、灰田有紀彦が作詞作曲し、灰田勝彦が1942年に歌い有名となった曲。これを鈴木章治が1954年にアレンジしリリースし、リバイバルヒットとなった楽曲である。三世代に渡り紡いできたこの楽曲は、今後も「日本を代表するクラリネットの名曲」として愛され続けるに違いない。
もちろん本アルバムの演奏も素晴らしく、ジャズクラリネット・プレイヤーであれば、この一曲のみで購入する価値があると断言できる。

他に収録された楽曲達は”I Got Rhythm”、”Someone to Watch over Me”、”Memories of You”、 “If I Had You”、”All of Me”などジャズ・スタンダードが中心。
また日本のジャズ・アルバムらしく”我らの道”、”見上げてごらん夜の星を”など日本の名曲達も含まれている。

ジャズを始めたばかりのクラリネット奏者にも是非お勧めしたい『メロディアス・タイム』（Melodious Time）。是非あなたの耳で確かめてみてほしい。

Melodious Time - Track Listing

Melodious Time - Credit

鈴木直樹（Suziki Naoki）- クラリネット
エディ・ヒギンズ（Eddie Higgins）- ピアノ
佐久間和（Nagome Sakuma）- ギター、バンジョー（Tracks 10, 11, 14）
古西忠哲（Tadaaki Konishi）- ベース
鈴木正男（Masao Suzuki）- クラリネット（Tracks 5, 6）