2021年4月20日、西村健司(Kenji Nishimura)率いる西村健司セクステットが2ndアルバムとなる『カマコ』(Kamaco)をリリースした。
西村健司は1984年広島生まれのトロンボーン奏者。
11歳の頃からトロンボーンを開始し、愛媛大学へ入学後にジャズと出会う。
卒業後、約7年の会社員生活を経て上京し、洗足学園音楽大学ジャズコースへ入学。
優秀賞を得て卒業した後に、プロとしての道を歩み始める。
2016年に西村健司セクステットを結成した西村は、同バンドで翌年の浅草ジャズコンテスト・バンド部門に出場。ここでグランプリを受賞すると、その2年後の2019年には待望の1stアルバムとなる『ココ-ドコ』(Coco-Doco)を発表した。
2ndアルバムとなった『カマコ』(Kamaco)は、ジャンル的には恐らく「ジャズ・アルバム」に分類させるものだろう。
しかし、遊び心が随所に散りばめられており、通常のジャズ・アルバムとは違った”ユーモア溢れる作品”に仕上がっているのだ。
それは1曲目である”いつものファンファーレ”を聴いた時点で感じることができるだろう。
どこか懐かしい、ゲーム音楽を思わせるようなサウンドでアルバムがスタートし、2曲目には7拍子が印象的な”Didilin”。
3曲目にはジャズ・スタンダードでお馴染みの”April in Paris”だが、アレンジが素晴らしく原曲よりも軽やかな仕上がりになっている。
アルバムのタイトルにもなっている”Kamaco”は4曲目に選出。
「なぜカマコ(Kamaco)なのか」その理由は、アルバムに付属しているブックレットに詳しく?書かれているため、是非一読してほしい。
次曲にはショパンの前奏曲である”Prelude No.7”をジャズ・アレンジでカバー。本来はクラシックのナンバーであるが、西村健司のアレンジにより完璧なジャズ曲に変貌している。
他にもジャズ・スタンダードである”It’s You or No One”や、デューク・エリントン(Duke Ellington)の”Moon Indigo”などジャズの名曲達も収録。
「愛知県今治市の名物料理にちなんだ」という7曲目”焼豚玉子飯”は、良い意味でジャズ・ミュージシャンらしくないタイトルの付け方であり、個人的には凄く気にいっているナンバー。タイトルに反し、曲は東京のバーで流れているようなサウンドが特徴的だ。
今回はゲストとしてヴィブラフォン奏者である香取良彦が参加している。計4曲を西村健司セクステットと演奏し、10曲目” Triannosaurus”は香取自身のオリジナル・ナンバー。心地よいヴィブラフォンの音色に是非酔いしれてほしい。
ジャズ愛好家でなくとも楽しめる1枚に仕上がっている『カマコ』(Kamaco)。
「ユーモア溢れるジャズ・アルバム」をお求めの方は是非要チェックの作品だ。
Kamaco - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
1. | いつものファンファーレ | Kenji Nishimura | 1:23 |
2. | Didilin | Torben Westergaard | 9:11 |
3. | April in Paris | Vernon Duke, Yip Harburg | 7:10 |
4. | Kamaco | Kenji Nishimura | 6:57 |
5. | Prelude No.7 | Fryderyk Franciszek Chopin | 4:41 |
6. | It’s You or No One | Jule Styne | 6:47 |
7. | 焼豚玉子飯 | Kenji Nishimura | 5:25 |
8. | Tax Blues | Kenji Nishimura | 5:57 |
9. | Mood Indigo | Duke Ellington | 8:22 |
10. | Triannosaurus | Yoshihiko Katori | 7:50 |
Kamaco - Credit
西村健司(Kenji Nishimura)- トロンボーン
河原真彩(Maaya Kawahara)- トランペット
小笠原涼(Ryo Ogasawara)- テナーサックス、クラリネット(Track 9)
武藤勇樹(Yuki Muto)- ピアノ
長谷川慧人(Keito Hasegawa)- ベース
大江航平(Kohei Oe)- ドラム
香取良彦(Yoshihiko Katori)- ヴィブラフォン(Tracks 3, 4, 7, 10)