スピード感溢れるジプシージャズ・アルバム『ライブ・アット・ザ・ノース・シー・ジャズ・フェスティバル』（Live at the North Sea Jazz Festival）- ローゼンバーグ・トリオ（Rosenberg Trio）

『ライブ・アット・ザ・ノース・シー・ジャズ・フェスティバル』（Live at the North Sea Jazz Festival）は、ローゼンバーグ・トリオ（Rosenberg Trio）が1993年にリリースしたライブ・アルバムである。

ストーケロ・ローゼンバーグ（Stochelo Rosenberg）を中心に、従兄弟のノニー・ローゼンバーグ（Nonnie Rosenberg）、ヌーシュ・ローゼンバーグ（Nous'che Rosenberg）にて結成されたローゼンバーグ・トリオ。オランダ出身の彼らは、国内のみならず、フランス、イギリス、アメリカなどでも活躍し、ジプシージャズ界で最も有名なグループのひとつである。

本作は、ローゼンバーグ・トリオが毎年オランダのアホイ・ロッテルダムで開催されている「ノース・シー・ジャズ・フェスティバル」に出演した際のライブを音源化したもの。

ローゼンバーグ・トリオはこれまでに10作以上のアルバムをリリースしているが、その中でもこの『ライブ・アット・ザ・ノース・シー・ジャズ・フェスティバル』（Live at the North Sea Jazz Festival）は、非常に人気の高い名盤として知られている。

その理由として大きく挙げられるものが、ふたつある。

まず一つは、若干24歳のストーケロが弾きまくっているところだ。
アップテンポ、スローテンポな曲どちらでも、ここぞとばかりに音を詰め込んでいる。「マヌーシュ・スウィング界の最高峰ギタリストの一人」と言われているだけあって、ジプシー・ジャズのフレーズも連発。教材にしたいほどの正確無比なプレーも素晴らしい。
早弾き中心のプレイにかかわらず、ミストーンが少ないストーケロの特徴がよく表れている。

今作の人気が高いもうひとつの理由は、収録曲の素晴らしさだろう。
1曲目にはオリジナル・ナンバーの”For Sephora”、そしてその次にはジプシー・ジャズで最も有名な”Minor Swing”が並んでいている。オリジナルよりもアップテンポで演奏されており、ストーケロのテクニックが堪能できるアレンジだ。
3曲目にはジャンゴが好んで演奏した”Les Yeux Noris”を選曲。こちらもかなり早いテンポで演奏されているが、正確無比なソロで観客を盛り上げている。
ジャズ・スタンダードからは”Avalon”、”Honeysuckle Rose”、”Blue Bossa”、”Sweet Georgia Brown”などが収録されており、どの楽曲も聴きごたえ抜群だ。
一番のおすすめは16曲目に収録されたチック・コリアの”Spain”。やはりこの曲はアコースティックな楽器が良く似合う。リズムを上げ過ぎて若干不安定な部分もあるが、それでも聞き心地のよい演奏に仕上がっている。

アップテンポで弾きまくるアルバムを好む人であれば、おすすめできるアルバム、それが『ライブ・アット・ザ・ノース・シー・ジャズ・フェスティバル』（Live at the North Sea Jazz Festival）だ。

Live at the North Sea Jazz Festival - Track Listing

Live at the North Sea Jazz Festival - Credit

ストーケロ・ローゼンバーグ（Stochelo Rosenberg）- リードギター
ヌーシュ・ローゼンバーグ（Nous'che Rosenberg）- リズムギター
ノニー・ローゼンバーグ（Nonnie Rosenberg）- アコースティックベース