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1,500万枚を売り上げ、レッチリの作品で最も売れた名盤『カリフォルニケイション』(Californication)- レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)

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トータルセールス枚数8000万枚以上を誇り、複数回グラミー賞を受賞している世界的ロックバンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)。
1983年にロサンゼルスで結成した彼らは、これまでに10枚以上のアルバムを発表。
今回紹介するのは、その中で最も商業的に成功を収めたアルバム『カリフォルニケイション』(Californication)だ。

ファンク色を押し出した5thアルバム『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』(Blood Sugar Sex Magik)の成功により、世界的バンドへと成長したレッチリ。しかしその翌年、バンドの核を担っていたギターのジョン・フルシアンテ(John Frusciante)が薬物中毒のためにレッチリを離脱してしまう。

その後、デイヴ・ナヴァロ(David Navarro)を迎え6thアルバム『ワン・ホット・ミニット』(One Hot Minute)をリリース。
しかし、本来の”レッチリ・サウンド”は薄れ、売り上げ枚数も前作の半分以下と商業的にも失敗に終わった。

それから約3年後、薬物中毒のリハビリテーションを終えたジョンの元をベーシストのフリー(Flea)が訪れ、再びバンドへ勧誘。ジョンがこれを承諾し、6年振りにレッド・ホット・チリ・ペッパーズへ復帰することとなった。

そして1999年、レッチリは7枚目のアルバムとなる『カリフォルニケイション』(Californication)を発表。
ジョンの復帰作となったこの作品は、リリース直後から爆発的に売れ続け、アメリカ国内のみで700万枚以上の売上を記録。ヨーロッパでも500万枚近く出荷されており、2011年時点でのトータルセールス枚数は脅威の1,500万枚を超えている。
これにより、今作はレッチリがリリースしたアルバムの中で「最も商業的に成功を収めた作品」となった。

『カリフォルニケイション』(Californication)の特徴は、レッチリ・サウンドであるファンク色を残しつつ、メロディアスなナンバーが増えたことだろう。
気分が高揚する“Around the World”やグラミー賞を受賞した”Scar Tissue”など、名盤と呼ばれるにふさわしい楽曲達が並んでいる。

Californication - Track Listing

No.TitleWriterLength
1.Around the WorldFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith3:58
2.Parallel UniverseFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith4:30
3.Scar TissueFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith3:37
4.OthersideFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith4:15
5.Get on TopFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith3:18
6.CalifornicationFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith5:21
7.EasilyFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith3:51
8.PorcelainFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith2:43
9.Emit RemmusFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith4:00
10.I Like DirtFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith2:37
11.This Velvet GloveFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith3:45
12.SaviorFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith4:52
13.Purple StainFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith4:13
14.Right on TimeFlea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith1:52
15.Road Trippin'Flea, John Frusciante, Anthony Kiedis, Chad Smith3:25

Background & Reception

1曲目を飾るのは、オーバードライブが効いたベースのイントロから始まる“Around the World”
ジョン・フルシアンテが自宅で思いついたフレーズが元となっている。独特のリズムのため、バンドメンバーに聴かせる際はドラムのチャドにハイハットを刻んでもらったそうだ。ベースラインもフルシアンテが作成したようで、本人曰く15分程で書き上げたらしい。
作詞はボーカルのアンソニーで、ロベルト・ベニーニの映画Life Is Beautifulからインスピレーションを受けた内容となっている。
サビの最後に含まれているスキャットは、フリーの娘が歌ったフレーズを採用したもののようだ。
この曲のレコーディングでは、ジョンがプロデューサーのジム・スコット(Jim Scott)から借りた1966年製フェンダー・ジャガー、マーシャルJTM-45、マーシャルSuper Bassを使用。
フリーはシグネチャーモデルであり、この楽曲のミュージックビデオでも使用しているモデュラス・フリーベースにて録音を行っている。

2曲目に並んだ”Parallel Universe”は、ライブでも頻繁に演奏されるロックナンバー。ファンク色の少ない、ある意味レッチリらしくない楽曲でもある。クリアなギターサウンドとそれに対を成す歪んだベースサウンドが特徴。

アルバム内でも一二を争う人気の楽曲が”Scar Tissue”
美しいバラードソングで、メロウなギターリフとサスティーンの効いたギターソロが特徴。
1枚目にシングルカットされ、100万枚以上の売上を記録し、2000年のグラミー賞ではベスト・ロック・ソングを受賞した名曲中の名曲だ。

4曲目”Otherside”の歌詞の一部では、ヘロイン中毒でこの世を去った前メンバーヒレル・スロヴァク(Hillel Slovak)について歌われている。ダークな雰囲気のある曲だが、”Parallel Universe”と並びライブでよく演奏されているナンバー。
ミュージックビデオを担当したのは、名高い映像作品を多く生み出しているジョナサン・デイトン(Jonathan Dayton)とヴァレリー・ファリス(Valerie Faris)によるもの。

リズムに特徴があり、ワウの効いたギターサウンドが特徴の曲が"Get on Top"だ。
ジョンがヒップホップ・グループパブリック・エネミー(Public Enemy)の音源を聞いた後に閃いたナンバー。
叫ぶようなギターソロについては、フルシアンテは「イエス(Yes)の"Siberian Khatru"に影響を受け、敢えてバッキングと対照的なラインにした」と語っている。

6曲目の"Californication"は、レッチリのみならず、カリフォルニアを代表する曲といってよいだろう。
ボーカルのアンソニーは「"Californication"を完成させるのは、非常に困難だった」と自伝Scar Tissueで語っている。

まず初めに、アンソニーが「これまでで最高の出来」と自評する歌詞を完成させる。しかし、バンドメンバーはこの歌詞に合うサウンドをイメージ出来なかった。
あまりにも作業が進まなかったため、「今回のアルバムに収録するのは不可能」とメンバー全員が感じていたようだ。
これを救ったのが、ギタリストのジョン・フルシアンテ。
スタジオに入り、歌詞から浮かぶ音色を表現しながら曲を構築。それをバンド内で共有し、名曲"Californication"を完成させた。
ちなみに5thアルバムに収録されている"Under the Bridge"を作曲する際にも、今回と似たような現象が起こっている。

7曲目"Easily"、10曲目"I Like Dirt"は今作らしいファンク・ロックナンバー。
またアルバムの後半に並ぶ"Savior"では、エレハモ製マイクロ・シンセを使用したギターソロを聴くことができる。またこのギターソロのラインはクリーム時代のエリック・クラプトン(Eric Clapton)を意識しているようだ。

ライブでも大盛り上がりする楽曲が14曲目"Right on Time"。アルバム中最もアップテンポでサビのディスコ調のベースラインがたまらない。

前回ジョンが参加したアルバム『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』(Blood Sugar Sex Magik)は、グルーブ重視で音の厚みも”良い意味”で薄い作品だった。
対して『カリフォルニケイション』(Californication)では、音の厚みが増したファンク・ロックの楽曲が増えた印象を受ける。
収録曲もレッチリらしく全15曲もボリューム満点だ。

歴史に名を刻んだレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)の名盤『カリフォルニケイション』(Californication)
是非あなたの耳で確かめてほしい。

Californication - Credit

アンソニー・キーディス(Anthony Kiedis)- リードボーカル
ジョン・フルシアンテ(John Frusciante)- エレキギター、アコースティックギター(Tracks 11, 15)、バックボーカル、キーボード
フリー(Flea)- ベース、アコースティックベース(Track 15)
チャド・スミス(Chad Smith)- ドラム、パーカッション、タンバリン、カウベル

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