2003年にデビュー作となるセルフタイトルアルバム『マイケル・ブーブレ』(Michael Bublé)をリリースしたマイケル。
カバー曲を中心に構成されたこの作品は、イタリア・オーストラリア・イギリスなど、複数の国でプラチナディスクを獲得。全世界でのトータルセールス枚数は400万枚以上を記録し、商業的にも大成功を収めた1stアルバムとなった。
そしてその約2年後の2005年2月に発表されたのが、今回紹介する『イッツ・タイム』(It’s Time)だ。
ビートルズ(The Beatles)やスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)のカバー曲が含まれている今作は、前作よりキャッチーでポップなソングが多く含まれている。また、ビッグバンドのアレンジャーとしては世界No.1といっても過言ではない、サミー・ネスティコ(Sammy Nestico)がオーケストレーションを担当。聞き心地の良いアレンジは彼ならではの芸当だろう。
1stアルバムに収録された曲はジャズスタンダードが中心であり、どちらかと言えば”渋め”の選曲が多かった。
対して今作の『イッツ・タイム』(It’s Time)は、より大衆向けに制作された”イージーリスニング”な作品に仕上がっている。
結果、この狙いが功を奏し、収録曲の多くが世界各国のCMやラジオで頻繁に再生されることとなり、多くのリスナーの心を掴むことに成功。カナダ、イタリアなどを含む11ヵ国の音楽チャートで1位を獲得し、2011年までのトータルセールス枚数は600万枚を突破することとなった。
It's Time - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
1. | Feeling Good | Leslie Bricusse, Anthony Newley | 3:57 |
2. | A Foggy Day (In London Town) | George Gershwin, Ira Gershwin | 2:31 |
3. | You Don't Know Me | Eddy Arnold, Cindy Walker | 4:14 |
4. | Quando, Quando, Quando (duet with Nelly Furtado) | Tony Renis, Alberto Testa, Ervin Drake | 4:45 |
5. | Home | Michael Bublé, Alan Chang, Amy Foster-Gillies | 3:45 |
6. | Can't Buy Me Love | John Lennon, Paul McCartney | 3:14 |
7. | The More I See You | Mack Gordon, Harry Warren | 3:47 |
8. | Save the Last Dance for Me | Doc Pomus, Mort Shuman | 3:38 |
9. | Try a Little Tenderness | James Campbell, Reginald Connelly, Harry Woods | 4:05 |
10. | How Sweet It Is | Lamont Dozier, Brian Holland, Eddie Holland | 2:58 |
11. | Song for You (feat. Chris Botti) | Leon Russell | 4:42 |
12. | I've Got You Under My Skin | Cole Porter | 3:40 |
13. | You and I | Stevie Wonder | 3:55 |
Background & Reception
オープニングを飾るのはアンソニー・ニューリー(Anthony Newley)、レスリーブリキュース(Leslie Bricusse)が1964年に作曲した”Feeling Good"。
マイケルのカバーの中でも非常に人気が高く、ライブでも大盛り上がりのナンバーだ。日本でも2013年に『HONDA アコード ハイブリッド』のCMソングとして起用されている為、耳にしたことのある方も多いだろう。
オーケストラをバックに従え優雅に歌い上げる姿は、今日ではマイケル定番のスタイルだ。
4曲目に収録されている"Quando, Quando, Quando"は、カナダ出身のネリー・フルタード(Nelly Furtado)とのデュエット。オリジナルはトニー・レニス(Tony Renis)が1962年に作曲したイタリアンポップソング。リリースされて以降、クリフ・リチャード(Cliff Richard)やフィリッパ・ジョルダーノ(Filippa Giordano)など、多くのアーティストによりカバーされ世界的に有名となった。
今作のバージョンでは、ボサノバ調の緩やかなリズムとマイケルとネリーの歌声が強調され、ラテンの暖かさを感じるナンバーに仕上がっている。
5曲目にはマイケルとアラン・チャン(Alan Chang)が共作した”Home”が収録されている。アランはマイケルの専属音楽ディレクターであり、アメリカでは2人はゴールデンコンビとして有名だ。今回のオリジナルソングである”Home”も”Feeling Good”に並び、CMやラジオで頻繁に再生され、多くの人に愛される名曲となった。
歌詞の内容はマイケルがツアーでイタリアに滞在している際に書かれたもの。
シングルカットもされており、単体で100万枚以上の売り上げた心温まるバラードだ。
"Save the Last Dance for Me"は、アメリカのコーラスグループであるザ・ドリフターズ(The Drifters)が1960年に作曲したナンバー。この曲のリードボーカルは”Stand By Me”でお馴染みのベン・E・キング(Benjamin Earl King)が担当していたことは有名だ。マイケルのバージョンではラテンのリズムが強調されており、踊りだしたくなるポップソングに仕上がっている。
It's Time - Credit
マイケル・ブーブレ(Michael Bublé)- ボーカル
デイヴィッド・フォスター(David Foster)- キーボード
クリス・ボッティ(Chris Botti)- トランペット
ギルバート・カスティラーノ(Gilbert Castellanos)- トランペット
サル・クラッキオロ(Sal Cracchiol)- トランペット
キー・パーマー(Kye Palmer)- トランペット
ジョージ・ボハノン(George Bohanon)- トロンボーン
アイラ・ネプス(Ira Nepus)- トロンボーン
ビル・ライヒェンバッハ(Bill Reichenbach Jr.)- バストロンボーン
ジェフ・クレイトン(Jeff Clayton)- アルトサックス
キース・フィッドモント(Keith Fiddmont)- アルトサックス
チャールズ・オーウェン(Charles Owens)- テナーサックス
リッキー・ウッダード(Rickey Woodard)- テナーサックス
リー・カレット(Lee Callet)- バリトンサックス
ダン・ヒギンズ(Dan Higgins)- フルート、サックス
アラン・チャン(Alan Chang)- ピアノ
タミール・ヘンデルマン(Tamir Hendelman)- ピアノ
ランディ・ウォルドマン(Randy Waldman)- ピアノ
ヨチェム・ヴァン・デア・サーグ(Jochem van der Saag)- ハーモニカ、オルガン
ジョン・キオディーニ(John Chiodini)- ギター
ブライアン・グリーン(Brian Green)- ギター
ブランドン・ジェナー(Brandon Jenner)- ギター
ディーン・パークス(Dean Parks)- ギター
ヘイター・ペレイラ(Heitor Pereira)- ギター
マイケル・トンプソン(Michael Thompson)- ギター
アンソニー・ウィルソン(Anthony Wilson)- ギター
ブライアン・ブロンバーグ(Brian Bromberg)- ベース
ロバート・ハースト(Robert Hurst)- ベース
クリスチャン・マクブライド(Christian McBride)- ベース
ヴィニー・カリウタ(Vinnie Colaiuta)- ドラム
ジェフ・ハミルトン(Jeff Hamilton)- ドラム
デイビッド・タル(David Tull)- ドラム
ラファエル・パディーラ(Rafael Padilla)- パーカッション
ネリー・ファータド(Nelly Furtado)- ボーカル
デビー・ティマス(Debbie Timuss)- バックボーカル
Conclusion
上に紹介した以外にも、ビートルズ(The Beatles)の”Can’t Buy Me Love”や、フランク・シナトラ(Frank Sinatra)もカバーした"I've Got You Under My Skin"など、お勧めの曲が多く揃っている。
トラディショナルなポップソングを愛する人達であれば、是非聴いていただきたいアルバム、それが『イッツ・タイム』(It’s Time)だ。