『ジュキン』(Jukin')は、マンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer)が1971年にリリースしたデビュー・アルバムである。
マンハッタン・トランスファー(The Manhattan Transfer)は、1969年にティム・ハウザー(Tim Hauser)が中心となり結成したジャズ・コーラス・グループ。
ニューヨークを拠点に活動しており、当時はティムにエリン・ディキンズ(Erin Dickins)、マーティー・ネルソン(Marty Nelson)、パット・ロザリア(Pat Rosalia)、ジーン・ピスティッリ(Gene Pistilli)を加えたメンバーだった。
しかし、彼らは1973年に一度解散しているため、『ジュキン』(Jukin')は、この5名で作った唯一のアルバムである。
マンハッタン・トランスファーを知っている方であれば、ジャズを基調とした楽曲を思い浮かべる人が多いだろう。
実際に彼らはジャズの名曲を多くカバーしており、1981年にはウェザー・リポートの「バードランド」にて、グラミー賞の最優秀ジャズ・フュージョン・ボーカル賞とボーカル編曲賞を受賞。
それ以外でも、カウント・ベイシー楽団の"Until I Met You (Corner Pocket)”を編曲し、こちらもグラミー賞を受賞するなど、これまでに輝かしい功績を収めている。
25枚以上に及ぶアルバムもリリースしており、ジャズを中心としたメインなのは言うまでもないだろう。
しかし、本作『ジュキン』(Jukin')では、カントリー調の楽曲が中心。
この理由について、リーダーのティムは以下のように語っている。
「私とジーンは違うジャンルをやりたがっていたんだ。ジーンはカントリーやウェスタン、R&B、メンフィス・サウンドを愛していた。僕はジャズやスウィング調の楽曲をプレイしたかった。」
これが原因により、バンドは1973年に解散。
ティムは新たなメンバーでマンハッタン・トランスファーを再構築し、大きな成功を収めることとなった。
さて、この『ジュキン』(Jukin')というアルバムだが、様々なレビューを見てみるとあまり評価はされていない。
確かに、マンハッタン・トランスファーのサウンドを期待して購入すると肩透かしをくらう作品ではある。
しかし、もしあなたがアカメラグループを愛し、カントリー調のサウンドを好む方であれば、聞いてみることの価値はあるアルバムと言えるだろう。
Jukin' - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
1. | Chicken Bone Bone | Bobby McKinnon, Gene Pistilli | 3:20 |
2. | I Need a Man | Tom Anthony, Gene Pistilli | 3:12 |
3. | You'se a Viper | Anne Rachel, Fats Waller | 1:59 |
4. | Fair and Tender Ladies | A.P. Carter | 2:41 |
5. | Rosianna | Terry Cashman, Gene Pistilli, Tommy West | 3:03 |
6. | Sunny Disposish | Philip Charig, Ira Gershwin | 1:41 |
7. | Java Jive | Milton Drake, Ben Oakland | 2:34 |
8. | One More Time Around Rosie | Geoff Gutcheon, Gene Pistilli | 4:20 |
9. | Guided Missiles | Alfred Gaitwood, Dootsie Williams | 3:25 |
10. | Roll Daddy, Roll | Gene Pistilli, Garry Sherman | 2:21 |
Jukin' - Credit
ティム・ハウザー(Tim Hauser)- ボーカル
エリン・ディキンズ(Erin Dickins)- ボーカル
マーティー・ネルソン(Marty Nelson)- ボーカル
パット・ロザリア(Pat Rosalia)- ボーカル
ジーン・ピスティッリ(Gene Pistilli) - ギター