オアシス（Oasis）史上、最も重厚なアルバム『ビィ・ヒア・ナウ』（Be Here Now）

ノエル・ギャラガー（Liam Gallagher）、リアム・ギャラガー（Noel Gallagher）を中心に結成されたイギリスのロック・バンド、オアシス（Oasis）。
1991年に結成した彼らは、約18年に渡る活動期間の中で7枚のスタジオ・アルバムをリリース。
今回紹介する『ビィ・ヒア・ナウ』（Be Here Now）は、オアシスが1997年8月に発表した3枚目のアルバムである。

オアシスの名盤と言えば、1994年に発表された1stアルバム『ディフィニトリー・メイビー』（Definitely Maybe）、その翌年に誕生した2nd『モーニング・グローリー』（What's the Story Morning Glory?）という方がほとんどだろう。
この2枚は商業的にも大きな成功を収めており、トータルセールス枚数は共に1,000万、2,500万を突破。オアシスのみならず「UKロックを代表する名盤」として世界中で愛されている。
そしてこの2枚に続くアルバムとして発表されたのが、3^rdアルバム『ビィ・ヒア・ナウ』（Be Here Now）だ。
ファンの大きな期待を背負って発表された今作は、リリース初週で15ヵ国以上の音楽チャートで1位にランクイン。その後も順調に売り上げを伸ばし、イギリス国内では4ヶ月で約150万枚の出荷枚数を記録している。
『ビィ・ヒア・ナウ』（Be Here Now）は2008年の時点で800万枚のトータルセールスを突破しており、1stアルバム、2ndアルバムに次ぐ成功を収めることとなった。

1996年、ギタリストのノエルは、オアシス（Oasis）を「世界で最も大きい、神よりも大きな存在」と形容していた。
実際にこの頃の勢いは凄まじく、メディアやライブに引っ張りだこ。
1996年8月にネブワース・ハウスで行ったライブでは、2日間でなんと25万人ものファンを動員している。（チケットの倍率は10倍、即ち250万人以上が応募したことになる）
ちなみにこれだけの人数を動員したのにもかかわらず、オアシスが手にしたギャラは約330万円ほどだったようだ。

順調にいくと思われたオアシスの活動だが、取り巻く環境も大きく変化し始めたことにより、メンバー間の関係が徐々に悪化。特にボーカルのリアムは、バンド活動に嫌気が差し、様々な問題を起こしていた。
1996年8月23日、オアシスはMTVのアンプラグドに出演することが決定していたのだが、リアムが収録直前に喉の腫れを理由に歌うことを拒否。本番はノエルがボーカルを担当し、ビールと煙草を手に客席に座って野次を飛ばしていた。

その後に行われたアメリカツアーでも、リアムは「ガールフレンドのために、家探しをしたい」との理由で参加を拒否。ノエルをボーカルに迎えてツアーを開始させることとなった。
リアムは4日後からツアーに合流しているが、コンディションは最悪。まともに歌える状態ではなく、これに腹を立てたノエルがバンドを残して飛行機でイギリスへ帰国してしまう。（その後二人は和解し、ツアーは無事に完了）

ギャラガー兄弟はこの状況を打破すべく、「すぐにでも新しいアルバムを発表した方がよい」と考えていた。実際に1996年9月頃に曲の材料は揃っていたという。
この楽曲達は、1996年前半にノエルがカリブ海にあるマスティク島で、ジョニー・デップ（Johnny Depp）、ケイト・モス（Kate Moss）らとの休暇中に完成させたもの。
しかし、ノエルは前作『モーニング・グローリー』（What's the Story Morning Glory?）は発表後に「ライターズ・ブロック」に陥ってしまう。これは6か月にも及び、その間は僅かギターリフをひとつしか完成させることができなかったそうだ。
最終的に、食事以外の時は部屋にこもり作曲を行う生活でこれを打破。プロデューサーのオーウェン・モリス（Owen Morris）と協力し、タスカム（TASCAM）の8トラックレコーダーで録音を行い、デモを完成させた。

Be Here Now - Track Listing