『エクスプローリング・ジャズ・ギター』(Exploring Jazz Guitar)は、2009年にハル・レナード・コーポレーション(Hal Leonard Corporation)から出版された教則DVDである。
講師として参加しているのは、リズムギタリストとして世界に名を馳せたバッキー・ピザレリ(Bucky Pizzarelli)の息子であるジョン・ピザレリ(John Pizzarelli)。
今回の教則DVDでは、使用している機材からジョン作曲の”How My Heart Beats For You”の模範演奏までを紹介しており、ジャズ中級者~上級者に向けた内容となっている。
ここで簡単にジョン・ピザレリについて、そして今作がどういった方にお勧めかを説明していこう。
ジョン・ピザレリは、ニュージャージー州のジャズギタリスト兼シンガー。
スウィング・ギタリストとして名高いバッキー・ピザレリの息子として1960年4月6日に生まれ、6歳からギターを始める。
23歳になる1983年にはアルバム『アイム・ヒップ』(I’m Hip)をリリースし、プロとしてのキャリアを開始。
1990年に入ると、レイ・ケネディ(Ray Kennedy)、弟のマーティン・テイラー(Martin Tayler)とトリオを結成し、1993年にはフランク・シナトラ(Frank Sinatra)のオープニング・アクトを務めるまでに成長した。
その後、1994年にナット・キング・コール(Nat King Cole)からの影響を感じさせる『ディア・ミスター・コール』(Dear Mr. Cole)、1999年『P.S ミスター・コール』(P.S. Mr. Cole)を発表。
これらの作品でボーカルも担当したジョンは、ギタリストとしてだけでなく、ボーカリストとしても注目を集めることとなる。
その後、ジョンはバディ・デフランコ(Buddy DeFranco)、ステファン・グラッペリ(Stéphane Grappelli)、ジェーン・モンハイト(Jane Monheit)ら数多くのミュージシャンと共演。
現在では世界でも屈指のジャズ・ギタリストとして知られる存在となった。
2009年に発表された『エクスプローリング・ジャズ・ギター』(Exploring Jazz Guitar)では、ジョンが父バッキーから学んだ技術や、自身のテクニックについて丁寧に説明されている。
本作は11個のセクションに分かれており、それぞれの内容は以下の通り。
1. | Intro |
2. | Equipment |
3. | Comping Styles |
4. | Bossa Nova |
5. | Accompanying Singer |
6. | Re-Harmonizing the Blues |
7. | Intros, outros and Turnarounds |
8. | Single-Note-Lines |
9. | Rhythm Guitar and Chord Solos |
10. | How My Heart Beats for You |
11. | Outro Credits |
どの項目も素晴らしい内容ではあるが、特質すべきはバッキング、コードソロの模範演奏。
バッキー、ジョン共に世界有数のリズムギタリストであり、彼らのバッキングを少しでも吸収出来れば、必ず今後のジャズギターライフに役に立つだろう。
また、ピザレリ親子のもう一つの十八番である”コードソロ”についても紹介されている点も見逃せない。
ライブでは高速でプレイされているそれぞれのコードを丁寧に説明しているため、彼らのコードソロを学びたい方にとってはうってつけの内容に仕上がっている。
他にも単音ソロ、イントロやアウトロのアイデアも収録されているので、ピザレリ親子のファンでなくとも一見の価値アリの教則DVDと言えるだろう。
注意点としては、全編英語で説明しているため、英語が理解できない方は日本語対訳付きのバージョンを購入したほうがよいこと。
そして、ジャズ初心者にとっては理解しずらい部分もあるため、ある程度知識がある方に向けた作品であるということだ。
ピザレリ親子のプレイを少しでも自身の演奏に取り入れたいと思っているプレイヤーの皆様には必ず役に立つ教則DVD、それが『エクスプローリング・ジャズ・ギター』(Exploring Jazz Guitar)だ。