『キャラバン』(Caravan)は、ローゼンバーグ・トリオ(Rosenberg Trio)が1994年にリリースしたアルバムである。
リーダーのストーケロ・ローゼンバーグ(Stochelo Rosenberg)は、1968年の2月19日オランダのヘルモント生まれ。
10歳の頃から、ジプシー・ジャズの創始者ジャンゴ・ラインハルト(Django Reinhardt)のコピーを始め、その2年後には地元オランダのテレビ番組のコンテストで優勝を勝ち取る。
21歳になる1989年、ストーケロは従兄弟のノニー・ローゼンバーグ(Nonnie Rosenberg)、ヌーシュ・ローゼンバーグ(Nous'che Rosenberg)と共にローゼンバーグ・トリオを結成。フランスのサモワ=シュル=セーヌで行われたジャンゴ・ラインハルト・フェスティバルに出場し、高い評価を獲得した。
その後もトリオとして定期的に活動を行い、6枚目のアルバムとして発表したのが今作『キャラバン』(Caravan)である。
この作品の特筆すべき点は、ジプシージャズ・アルバムとして完成度が高く、安定した演奏を楽しむことができること。こういった音楽を求めている人あれば、このアルバムを購入して後悔することはまずないだろう。
そしてもうひとつの素晴らしい点、それは、ジャンゴの相棒ステファン・グラッペリ(Stéphane Grappelli)が参加していることだ。
ステファンはジャンゴと共に数多くの名演を残し、世界中に名を轟かせたバイオリニスト。ジプシージャズ音楽の発展に欠かせなかった人物である。今作の約1年前の1993年6月、カーネギー・ホールで行われた自身の85周年コンサートにて、ローゼンバーグ・トリオを招待し、共演。ここで交友を深めた彼らはレコーディングを行うことを決意し、ジプシージャズ・アルバム『キャラバン』(Caravan)を生み出した。
内容はストーケロ・ローゼンバーグのオリジナル曲”La Promenade”、”Stephanesque”や、ジャズスタンダード曲”Embraceable You”、ジャンゴの名曲”Melodie Au Crepuscule”、”Tears”を収録。
おすすめは、アコースティックのサウンドが楽曲にマッチしている”Caravan”。タイトル・ナンバーにもなったデューク・エリントンの名曲を、スピード感溢れる演奏で楽しむことができる。
ちなみにグラッペリが参加した楽曲は”Pent-up House”、”Embraceable You”、”Tears”の3曲。
晩年のステファン・グラッペリの演奏を聴きたい方におすすめのアルバムだ。
Caravan - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
1. | Viajeiro | Luis Chaves, Zimbo | 3:53 |
2. | Melodie Au Crepuscule | Django Reinhardt | 2:39 |
3. | Pent-up House | Sonny Rollins | 3:52 |
4. | La Promenade | Stochelo Rosenberg | 3:51 |
5. | Embraceable You | George Gershwin | 3:10 |
6. | Tears | Django Reinhardt | 5:56 |
7. | The Zebra | Jan Akkerman, Stochelo Rosenberg | 5:59 |
8. | Chez Moi | Jean Feline, Paul Misraki | 2:18 |
9. | Stephanesque | Stochelo Rosenberg | 3:05 |
10. | Caravan | Duke Ellington, Juan Tizol | 2:56 |
11. | I Surrender Dear | C. Gordon, Harry Barris | 3:27 |
Caravan - Credit
ストーケロ・ローゼンバーグ(Stochelo Rosenberg)- リードギター
ヌーシュ・ローゼンバーグ(Nous'che Rosenberg)- リズムギター
ノニー・ローゼンバーグ(Nonnie Rosenberg)- アコースティックベース
ステファン・グラッペリ(Stéphane Grappelli)- バイオリン
ヤン・アッカーマン(Jan Akkerman)- アコースティックギター
フリッツ・ランデスバーゲン(Frits Landesbergen)- ヴィブラフォン