ジプシージャズ継承者によるプロジェクト第二弾『ジプシー・プロジェクト&フレンズ』（Gipsy Project & Friends）- ビレリ・ラグレーン（Biréli Lagrène）

ジプシージャズの創始者として知られ、後世のミュージシャンに多大な影響を与えたギタリスト、ジャンゴ・ラインハルト（Django Reinhardt）。そんなジャンゴに影響を受けたギタースタイルで一躍有名になったのが、フランス出身のギタリストであるビレリ・ラグレーン（Biréli Lagrène）だ。

バイオリニストの父を持つビレリは4歳からギターを初め、その4年後にはジャンゴのレパートリーを演奏していた。僅か13歳でCDもリリースしており、アルバム『ルーツ・トゥ・ジャンゴ』（Routes To Django - live At The Krokodil）という作品を残している。

早い段階でジプシージャズの作品を残したビレリだったが、1980年代中頃からはジャズ・コンボやフュージョンに重きを置き始める。
結局、「現代のジャンゴ」と称されたビレリがジプシージャズに回帰したのは、34歳になる2000年頃だった。

ビレリ・ラグレーンは2001年、ジャンゴとステファンが結成したフランス・ホット・クラブ五重奏団を彷彿とさせる編成で『ジプシー・プロジェクト』（Gipsy Project）をリリース。ファンが待ち望んでいたこの作品は、多くの称賛を集め、ビレリの”ジプシージャズギタリスト”としての地位を確固たるものにした。
そしてその僅か1年後にリリースされたのが、今作『ジプシー・プロジェクト&フレンズ』（Gipsy Project & Friends）だ。プロジェクト第二弾とも呼べる今回のアルバムは、前回と同様、フランス・ホット・クラブ五重奏団を基調とした編成で構成されている。

それに加え、今作ではストーケロ・ローゼンバーグ（Stochelo Rosenberg）、トマ・デュトロン（Thomas Dutronc）がギタリストとして参加。ストーケロはオランダ出身のミュージシャンであり、ビレリと肩を並べる実力を持つジプシージャズギタリストだ。
トーマスは甘いマスクを持つ、フランス出身のシンガー兼ギタリスト。母親は世界的に有名なフランスの歌手、フランソワーズ・アルディ（Françoise Hardy）である。

豪華なメンバーを揃えたビレリは、今回もジャンゴが作曲したナンバーや演奏した楽曲を収録。ジャンゴとステファンが1935年に作曲した”Djangology”から始まり、2曲目はジャズスタンダードとして長らく愛されている”When Day Is Done”。この曲はジプシージャズギタリストを題材にした映画『ギター弾きの恋』（Sweet and Lowdown）のオープニングテーマとして使用されたナンバーでもある。
6曲目”Yeux Noirs”はロシア民謡であり、ジャズスタンダードとしても愛されている楽曲。ギター2本によるアップテンポのハモりは、超絶技巧と呼ぶにふさわしい演奏だ。
ジャンゴを代表する曲”Minor Swing”は8曲目に収録。ここでもビレリは「現代のジャンゴ」に恥じない素晴らしいプレイをみせている。

プロジェクト第二弾である『ジプシー・プロジェクト&フレンズ』（Gipsy Project & Friends）も前作同様、ジプシージャズの名盤として歴史に名を刻んだ。

Gypsy Project & Friends - Track Listing

Gypsy Project & Friends - Credit

ビレリ・ラグレーン（Biréli Lagrène）- ギター
ストーケロ・ローゼンバーグ（Stochelo Rosenberg） - ギター
ホノ・ヴィンターシュタイン（Hono Winterstein）- ギター
トマ・デュトロン（Thomas Dutronc）- ギター
ウッドマノ・ラグレーン（Holzmano Lagrene）- ギター
フローリン・ニクレスク（Florin Niculescu）- バイオリン
ディエゴ・インベルト（Diego Imbert）- アップライトベース
アンリ・サルヴァドール（Henri Salvador）- ボーカル（Track 7）