グレン・ミラー、ベニー・グッドマン、デューク・エリントンと共に「ビッグバンド四天王」の一人として数えれらているカウント・ベイシー(Count Basie)。1930年代から自身のバンドカウント・ベイシー楽団(Count Basie Orchestra)を率い、50年以上に渡り第一線で活躍し続けた。
今回紹介するのは、カウント・ベイシー楽団が1980年にリリースした作品『オン・ザ・ロード』(On the Road)である。
スイス・モントルーで1979年7月に録音された今作は、スタジオで1発録りした、言うなればスタジオ・ライブ作品。
観客を招き行われたレコーディングのため、歓声や拍手なども音源に含まれている。音だけで判断するなら、ライブ・アルバムとほぼ変わらないといってよいだろう。
今作の特徴は気分の上がるアップテンポな楽曲が多く並んでいるところだろう。
1曲目を飾るのはサミー・ネスティコ(Sammy Nestico)が作曲した"Wind Machine"。スウィングしたベースラインから始まり、ホーンサウンド全開の迫力のあるナンバーだ。ネスティコの曲らしい"キャッチーさ"もあり、テナーサックスのソロも素晴らしい。
次の"Blues for Stephanie"は、ビッグバンドらしい煌びやかなサウンドが堪能できるブルースナンバー。カウント・ベイシー楽団では珍しく、ベイシーのピアノが目立っているところも特筆すべき点だろう。
このアルバムで最もおすすめなのが、ジャズスタンダードの定番である4曲目"There Will Never Be Another You"。
ピート・ミンガー(Pete Minger)がフューチャーされており、全編を通してほぼフリューゲルホルンのソロが楽しめる。
アップテンポながら暖かくメロディアスな演奏のため、トランペット・フリューゲルホルン奏者は必聴の一曲だ。
また、今回はデトロイト出身のジャズシンガー、デニース・ロウランド(Dennis Rowland)を迎え、ボーカル曲"Watch What Happens"、"Work Song"も収録。バラエティーに富んだ曲構成になっている。
ラストのデューク・エリントン作曲の"In a Mellow Tone"は様々なアレンジがあるため、他のバージョンと聴き比べるのも一つの楽しみ方だろう。今作ではキメの多い変化のあるアレンジが施されている。
リリースされた翌年の1981年にグラミー賞最優秀ラージ・ジャズ・アンサンブル・アルバム賞を受賞した『オン・ザ・ロード』(On the Road)。
ビッグバンドのライブ・アルバムをお求めの方は、是非ご視聴いただきたい。
On the Road - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
1. | Wind Machine | Sammy Nestico | 3:16 |
2. | Blues for Stephanie | John Clayton | 7:01 |
3. | John the III | Bobby Plater | 4:55 |
4. | There Will Never Be Another You | Mack Gordon, Harry Warren | 2:59 |
5. | Bootie's Blues | Count Basie, Booty Wood | 4:00 |
6. | Splanky | Neal Hefti | 3:42 |
7. | Basie | Ernie Wilkins | 4:27 |
8. | Watch What Happens | Norman Gimbel, Michel Legrand | 2:17 |
9. | Work Song | Nat Adderley, Oscar Brown Jr. | 4:02 |
10. | In a Mellow Tone | Duke Ellington, Milt Gabler | 5:37 |
On the Road - Credit
カウント・ベイシー(Count Basie)- ピアノ
レイ・ブラウン(Ray Brown)- トランペット
ポール・コーエン(Paul Cohen)- トランペット
ソニー・コーン(Sonny Cohn)- トランペット
ピート・ミンガー(Pete Minger)- トランペット、フリューゲルホルン
ビル・ヒューズ(Bill Hughes)- トロンボーン
メル・ワンツォ(Mel Wanzo)- トロンボーン
デニス・ウィルソン(Dennis Wilson)- トロンボーン
ブーティ・ウッド(Booty Wood)- トロンボーン
エリック・ディクソン(Eric Dixon)- サックス
チャールス・フォークス(Charles Fowlkes)- サックス
ケニー・ヒング(Kenny Hing)- サックス
ボビー・プレイター(Bobby Plater)- サックス
ダニー・ターナー(Danny Turner)- サックス
ジョン・クレイトン(John Clayton)- ベース
フレディ・グリーン(Freddie Green)- ギター
ブッチ・マイルス(Butch Miles)- ドラム
デニース・ロウランド(Dennis Rowland)- ボーカル