Reviews

「最も売れたファンク・アルバム」としてギネス記録に認定された、アシッドジャズの名盤『ジャミロクワイと旅に出よう』(Travelling Without Moving)- ジャミロクワイ(Jamiroquai)

『ジャミロクワイと旅に出よう』(Travelling Without Moving)- ジャミロクワイ(Jamiroquai)

イギリス出身のジェイ・ケイ(Jason Kay)を中心に結成されたバンドジャミロクワイ(Jamiroquai)。
アシッドジャズという特異なジャンルながら、世界各国に熱烈なファンを持ち、作品の売上枚数は3,500万枚以上。グラミー賞も複数回受賞しており、「世界で最も成功したアシッドジャズ・バンド」としても知られている。

そんなジャミロクワイの最高傑作として挙げられるのが、今回紹介する『ジャミロクワイと旅に出よう』(Travelling Without Moving)だ。

セッション要素の強かった前作『スペース・カウボーイの逆襲』(The Return of the Space Cowboy)に比べ、メロディーとリズムが強調された今作。
ある意味より大衆向けの作品となった『ジャミロクワイと旅に出よう』(Travelling Without Moving)は世界各国で大きな注目を浴び、イギリス・アメリカで100万枚以上のセールスを記録。ここ日本でも140万枚の売上を突破し、世界でのトータルセールス枚数は脅威の800万枚を超えることとなった。
これは2020年現在、「最も売れたファンク・アルバム」としてギネス記録に認定されている。

もし私が友人にジャミロクワイのアルバムを1枚勧めるのであれば、間違いなく今作を選ぶだろう。それは今作がキャッチーな楽曲を多く含んでおり、またジャミロクワイの音楽性もしっかりとブレンドされているからだ。
実際、日本国内で言えば、ジャミロクワイ・ファンの8~9割の方は『ジャミロクワイと旅に出よう』(Travelling Without Moving)から彼らに興味を持ち始めたのではないだろうか。

もしあなたがまだジャミロクワイ(Jamiroquai)の音楽を聞いたことが無いのであれば、この歴史に名を刻んだ名盤『ジャミロクワイと旅に出よう』(Travelling Without Moving)から聴き始めるとよいだろう。

Travelling Without Moving - Track Listing

No.TitleWriterLength
1.Virtual InsanityJay Kay, Toby Smith5:40
2.Cosmic GirlJay Kay, Derrick McKenzie4:03
3.Use the ForceJay Kay, Toby Smith, Derrick McKenzie, Sola Akingbola4:00
4.EverydayJay Kay, Toby Smith, Stuart Zender4:28
5.AlrightJay Kay, Toby Smith4:25
6.High TimesJay Kay, Toby Smith, Derrick McKenzie, Stuart Zender5:58
7.Drifting AlongJay Kay, Derrick McKenzie, Stuart Zender, Simon Katz4:06
8.Didjerama (Instrumental)Jay Kay, Derrick McKenzie, Stuart Zender, Wallis Buchanan3:50
9.Didjital Vibrations (Instrumental)Jay Kay, , Stuart Zender, Wallis Buchanan5:49
10.Travelling Without MovingJay Kay3:40
11.You Are My LoveJay Kay3:55
12.Spend a LifetimeJay Kay, Toby Smith4:14
13.Do U Know Where You're Coming FromJay Kay, Toby Smith, M-Beat4:59
14.Funktion *secret trackJay Kay, Toby Smith8:27

Background & Reception

1曲目を飾るのは、このアルバムが大ヒットするきっかけとなった"Virtual Insanity"。バッキングのピアノが楽曲にグルーブ感を与えており、それと交わるスチュアート・ゼンダーのベースラインが芸術的だ。メロディーラインも美しく、ジャミロクワイの楽曲の中で「最もキャッチー」なナンバー。
またこの曲のミュージック・ビデオも非常に高く評価されており、MTVビデオ・ミュージック・アワードにて10部門にノミネート。そのうちベスト・ビデオ・オブ・ザ・イヤーを含む4部門を受賞する快挙を成し遂げた。
日本でもCM等で使用されている楽曲のため、耳にしたことのある方も多いかもしれない。

2曲目"Cosmic Girl"はアップテンポのディスコ・ミュージック。アメリカの黒人音楽とは一味違った、ジェイ・ケイらしい独特のリズムとサウンドが印象な楽曲。また、ゼンダーのオクターブ奏法による”ディスコ感”も勇逸無二の芸当と言えるだろう。
こちらもミュージック・ビデオが作成されており、ケイが実際に所有していたフェラーリとランボルギーニが登場。
また余談ではあるが、今作のジャケットはフェラーリのエンブレムを模したものとなっている。

アフリカ音楽とエレクトリックなジャミロクワイ・サウンドが融合しているのが”Use the Force”。アルバムの中でも異彩を放っているが、これは作曲にソラ・アキングボラ(Sola Akingbola)が参加しているためだろう。
ソラはナイジェリア出身のパーカッション奏者であり、ジェイ・ケイとはドラマーのデリック・マッケンジー(Derrick McKenzie)を通して交流を深めたようだ。
この作品以降、ソラはジャミロクワイのパーカッショニストとしてアルバムやツアー等に参加するようになる。

5曲目“Alright”は2つのサンプルが使用されたクラブ・ミュージック。
ひとつはジャズ・サックス奏者エディ・ハリス(Eddie Harris)の"It's All Right Now"。そしてもうひとつは、ジャズ・ドラム奏者アイドリス・ムハマッド(Idris Muhammad)の"Could Heaven Ever Be Like This"だ。
3枚目にシングルカットされた楽曲でもあり、"Cosmic Girl"と同様に気分の上がる楽曲に仕上がっている。

盛り上がる曲と言えば、10曲目"Travelling Without Moving"も忘れてはならない。
ほぼインストの楽曲で、楽器隊の演奏が非常に素晴らしい。その中でも特筆すべきはゼンダーのグルーブ感溢れるベースラインだろう。
フレーズ自体はジェイ・ケイが考案したものと思われるが、卓越したセンスと技術から繰り出されるそのサウンドは、まさに唯一無二。ベーシストであれば必聴の楽曲だ。
ちなみにイントロのエンジン音は、ジェイ・ケイの所有するランボルギーニ・ディアブロSE 30のエンジン音である。

また、13曲目"Do U Know Where You're Coming From"では、M-Beatを迎えドラムンベース調の楽曲にも挑戦。
こちらもダンス・ミュージックを好む方にはたまらないナンバーだろう。

他にも"You Are My Love""High Times"など今作らしいキャッチーな楽曲がズラリ。
アシッドジャズやファンクに興味が無くとも楽しめる名盤、それが『ジャミロクワイと旅に出よう』(Travelling Without Moving)なのだ。

Travelling Without Moving - Credit

ジェイソン・ケイ(Jason Kay)- ボーカル
トビー・スミス(Toby Smith)- キーボード
スチュアート・ゼンダー(Stuart Zender)- ベース
サイモン・カッツ(Simon Katz)- ギター
ソラ・アキングボラ(Sola Akingbola)- パーカッション

-Reviews
-, , , , , ,

© 2022 Tororopizza Music Magazine