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原点にして頂点。素朴で繊細な世界観が表現されたデビュー作『パラシューツ』(Parachutes)- コールドプレイ(Coldplay)

「パラシューツ」(Parachutes)- コールドプレイ(Coldplay)

コールドプレイ(Coldplay)は、1997年にロンドンで結成されたロックバンド。現在までに全世界トータルで1億枚以上のセールスを記録しており、グラミー賞も7回受賞。今日では、「2000年代における最も成功したバンドのひとつ」として数えられるまでに成長した。

そのきっかけとなったのが、2000年にリリースされたデビュー・アルバム「パラシューツ」(Parachutes)である。
リリースと同時に全英チャート1位を記録、長らくその人気は衰えることなく、33週間連続でトップ10入りを果たした。結果、イギリス国内のみで270万枚以上、全世界での売上総枚数は850万枚を突破。2002年にはグラミー賞のひとつである"Best Alternative Music Album"を受賞し、コールドプレイ(Coldplay)は一躍その名を世界へ轟かせた。

これまでに8枚のアルバムをリリースしているコールドプレイだが、個人的には、デビュー作「パラシューツ」(Parachutes)"原点にして頂点のアルバム"だと思う。「素朴」「繊細」と言った言葉が似合う今作は、コールドプレイにしか創れない世界観が表現されている。

Parachutes - Track Listing

No.TitleWriterLength
1.Don't PanicChris Martin, Guy Berryman, Jonny Buckland, Will Champion2:17
2.ShiverChris Martin, Guy Berryman, Jonny Buckland, Will Champion5:00
3.SpiesChris Martin, Guy Berryman, Jonny Buckland, Will Champion5:18
4.SparksChris Martin, Guy Berryman, Jonny Buckland, Will Champion3:47
5.YellowChris Martin, Guy Berryman, Jonny Buckland, Will Champion4:29
6.TroubleChris Martin, Guy Berryman, Jonny Buckland, Will Champion4:31
7.ParachutesChris Martin, Guy Berryman, Jonny Buckland, Will Champion0:46
8.High SpeedChris Martin, Guy Berryman, Jonny Buckland, Will Champion4:14
9.We Never ChangeChris Martin, Guy Berryman, Jonny Buckland, Will Champion4:09
10.Everything's Not LostChris Martin, Guy Berryman, Jonny Buckland, Will Champion7:17

Background & Reception

アルバムのオープニングを飾るのはボーカルのクリス・マーティン(Chris Martin)が作曲した"Don't Panic"。繊細で憂鬱なメロディーラインと透き通るようなギターサウンドが特徴。元は"Panic"というタイトルで、コールドプレイが1998年にカムデンのローレルツリーで初めて行ったライブで演奏されている。オリジナルバージョンの"Don't Panic"は1999年10月にリリースされたEP『ブルー・ルーム』(The Blue Room)に収録されている為、興味のある方は確認してみてほしい。

初めにシングルカットされた2曲目の"Shiver"は、次に紹介する"Yellow"に次いで、キャッチーな曲と言えるだろう。イントロの激しくも美しいギターのサウンドは初期のコールドプレイならでは。アルバムのリリースから2年程前に書かれた曲で、アメリカのシンガーソングライターであるジェフ・バックリィ(Jeff Buckley)の音楽を聞きながら完成させたナンバー。その影響からか、ボーカルのメロディーラインはどことなくジェフを思わせる。

アルバムがヒットするきっかけとなったのが5曲目の”Yellow”。陰影に富んだ楽曲が多い今作だが、この曲は希望や明るさに満ちている。この曲はウェールズのロック・フィールドにあるクアドラングル・スタジオ(Quadrangle studio)で書かれたナンバー。
“Shiver”のレコーディングを終えたメンバーがスタジオの外に出ると、綺麗な星達が並んでいた。それを見たプロデューサーのケン・ネルソン(Ken Nelson)が発した「Look at the stars」という言葉にインスパイアされたクリスが、メロディーとコード進行を思い付いた。最初のうちは本気で曲として完成させるつもりはなく、冗談でニール・ヤング(Neil Young)の声真似をしながら歌っていた。しかし、テンポや歌詞を考えていくうちに曲として仕上がっていき、最終的にはギタリストのジョニーのアイデアを元にリフを書き、厚みのある曲へと完成させせた。
タイトルの”Yellow”(黄色)は西洋では衰退、病気、憂鬱などネガティブな印象を与えることのあるカラーだが、ボーカルのクリスはインタビューにて、「イエローという言葉が曲の雰囲気にピッタリとハマったから採用することにした。それ以外に理由はないし、他の色だったらここまでフィットしていない」と発言している。
シングルとして350万枚以上を売り上げている、大ヒットナンバーだ。

ボーカルのクリスが奏でる悲しげなピアノから始まる"Trouble"は3枚目にシングルとしてリリースされ、UKシングルチャートで10位にまで上り詰めたナンバー。イギリスでは一定の評価を得たが、アメリカではセールス的に振るわなかったのは、ストレートな楽曲を好む傾向にある国民性の違いだろうか。
ミックスはニューヨークでアメリカン出身のエンジニアであるマイケル・ブラウアー(Michael Brauer)によって行われたが、最初の段階ではメンバーとプロデューサーのケン・ネルソン(Ken Nelson)から「ボーカルがコンプレスされすぎている」「ピアノの音が明るすぎる」と評価され、再度ミックスし直されている。

Parachutes - Credit

クリス・マーティン(Chris Martin)- ボーカル、アコースティックギター、ピアノ、キーボード
ジョニー・バックランド(Jonny Buckland)- エレキギター、ピアノ(Track 4)、バックボーカル
ガイ・ベリーマン(Guy Berryman)- ベース
ウィル・チャンピオン(Will Champion)- ドラム、パーカッション、バックボーカル

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