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カントリーとポップの融合。彼女の原点と言える1stアルバム『テイラー・スウィフト』(Taylor Swift)

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2020年までにグラミー賞を10回受賞し、リリース作品のトータルセールスは2億枚を超えている世界の歌姫、テイラー・スウィフト(Taylor Swift)
ここ日本でも高い人気を誇るシンガーであり、2011年には日本武道館でもライブも成功させている。
また、その翌年には彼女の楽曲”We Are Never Ever Getting Back Together”がテレビ番組『テラスハウス』の主題歌として使用され、日本の若者達の間で人気が急上昇。洋楽好き以外にもその名を広め、確固たる地位を獲得した。

現在の音楽性から、国内ではポップシンガーとして認知されているテイラー。しかし、彼女の原点は「カントリーミュージック」だということを忘れてはならない。

当時9歳のテイラーは、カントリー歌手のシャナイア・トゥエイン(Shania Twain)の音楽に衝撃を受け、シンガーとしてのキャリアを築くことを決意した。
その2年後には、母と共にカントリー音楽の中心テネシー州ナッシュビルにあるレコード会社を訪問。ドリー・パートン(Dolly Parton)やザ・チックス(The Chicks)をカバーした音源を提出していたそうだ。
そして2005年、テイラーはまだ設立したばかりのビッグ・マシン・レコードと契約。
その翌年にリリースされたのが、今回紹介する1stアルバム『テイラー・スウィフト』(Taylor Swift)だ。

当時のテイラーはまだ無名の新人だった為、両親やレコード会社は自身でプロモーションを行う必要があった。そこで彼らは、先行シングルとしてリリースしていた”Tim McGraw”のCDをラジオ局へ送り、再生してもらうようにアプローチを行う。
献身的な活動が実を結び、2006年10月に発売された1stアルバム『テイラー・スウィフト』(Taylor Swift)は、初週でビルボードチャート19位を獲得。カントリー・アルバム部門としては1位を勝ち取る快挙を成し遂げた。

今作について、個人的にはテイラー・スウィフトの作品の中で、ベストアルバムだと思う。2ndアルバム以降はカントリー色が薄れ、”ポップシンガー”としての側面が非常に強くなっている。しかし、この1stアルバムは「カントリー&ポップミュージック」というオリジナリティー溢れる作品であり、テイラーにしか創れない作品だった。

アコースティックギターやマンドリンが効果的に使われており、カントリーチックなサウンドでありながら、楽曲はポップミュージックというバランスが素晴らしいのだ。
また、収録されている曲も聴き心地の良い楽曲が揃っている。

先行シングルとしてアルバムの売上に貢献した”Tim McGraw”は優しいサウンドが特徴的なスローバラード。ちなみにタイトルはカントリー歌手のフェイス・ヒルと結婚したティム・マグロウ(Tim McGraw)から引用している。

”Picture to Burn”はギター、バンジョー、ドラムがフューチャーされたカントリー・ロックミュージック。ミュージックビデオも作成されており、テネシー州のナッシュビルで撮影が行われている。
次の”Teardrops on My Guitar”はアコースティックギターの印象的な楽曲。2ndシングルとしてもリリースされており、300万枚を売り上げた。

8曲目"Stay Beautiful"、11曲目”Our Song”はこのアルバムはもちろん、テイラー・スウィフトを代表する楽曲と言っても過言ではないだろう。”Stay Beautiful”はアコースティックなサウンドが心地よいスローバラード。そして”Our Song”は3枚目にシングルカットされ、カントリーチャートで6週連続1位を記録したノリの良い楽曲だ。2006年から売り上げを伸ばし続け、現在では約600万枚を記録していることも、今作の完成度が高い証拠だろう。

テイラーの原点であり、彼女の名を一躍世界へ轟かせた1stアルバム『テイラー・スウィフト』(Taylor Swift)
カントリー&ポップな作品を楽しみたい方には、是非お勧めしたい一枚だ。

Taylor Swift - Track Listing

No.TitleWriterLength
1.Tim McGrawTaylor Swift, Liz Rose3:54
2.Picture to BurnTaylor Swift, Liz Rose2:55
3.Teardrops on My GuitarTaylor Swift, Liz Rose3:35
4.A Place in This WorldTaylor Swift, Liz Rose, Robert Ellis Orrall, Angelo Petraglia3:22
5.Cold as YouTaylor Swift, Liz Rose4:01
6.The OutsideTaylor Swift3:29
7.Tied Together with a SmileTaylor Swift, Liz Rose4:11
8.Stay BeautifulTaylor Swift, Liz Rose3:58
9.Should've Said NoTaylor Swift4:04
10.Mary's Song (Oh My My My)Taylor Swift, Liz Rose, Brian Maher3:35
11.Our SongTaylor Swift3:24

Taylor Swift - Credit

テイラー・スウィフト(Taylor Swift)- ボーカル
ネイサン・チャップマン(Nathan Chapman)- アコースティックギター、バックボーカル、ミックス&レコーディング、エレキギター
ロバート・エリス・オレル(Robert Ellis Orrall)- プロダクション&バックボーカル
ゲイリー・バーネット(Gary Burnette)- ギター、ベース
ワンダ・ビック(Wanda Vick)- マンドリン、バンジョー
トニー・ハレル(Tony Harrell)- キーボード
ダン・ダグモア(Dan Dugmore)- スチールギター
ベン・クラーク(Ben Clark)- バンジョー
チャック・エンライ(Chuck Ainlay)- ミックス
スコット・キッド(Scott Kidd)- ミックス
スティーブ・ショート(Steve Short)- エンジニアリング
ニック・ブダ(Nick Buda)- ドラム
エリック・ダーケン(Eric Darken)- パーカッション
ロブ・ハジャコス(Rob Hajacos)- フィドル
ティム・マークス(Tim Marks)- ベース
ジョン・ウィリス(John Willis)- マンドリン
アレン・ディト(Allen Ditto)- レコーディング
クラーク・シュライヒャー(Clarke Schleicher)- レコーディング
マイク・ブリグナルデッロ(Mike Brignardello)- ベース
シャノン・フォレスト(Shannon Forrest)- ドラム
リアナ・マリス(Liana Manis)- バックボーカル
ジェフリー・ハイド(Jeffrey Hyd)- バンジョー
グレッグ・ローレンス(Greg Lawrence)- ミックスアシスタント
アンディ・レフトウィッチ(Andy Leftwich)- フィドル、マンドリン
レックス・プライス(Lex Price)- マンドリン
リー・アン・レイミー(Lee Ann Ramey)- グラフィックデザイン
ジョシュア・ホイットモア(Joshua Whitmore)- ドブロ、ペダルスチールギター
サンディ・スピカ(Sandi Spika)- エンジニア
ホイットニー・サットン(Whitney Sutton)- プロダクションコーディネーション
イリア・トシンスキー(Ilya Toshinsky)- アコースティックギター、バンジョー
ハンク・ウィリアムズ(Hank Williams)- マスタリング

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