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そよ風の吹く一枚。グラミー賞を獲得したビッグバンド・アルバム『ウォーム・ブリーズ』(Warm Breeze)- カウント・ベイシー楽団(Count Basie Orchestra)

『ウォーム・ブリーズ』(Warm Breeze)カウント・ベイシー楽団(Count Basie Orchestra)

『ウォーム・ブリーズ』(Warm Breeze)は、カウント・ベイシー楽団(Count Basie Orchestra)が1981年にリリースしたアルバムである。

カウント・ベイシー(Count Basie)は32歳から自身のバンドを率いており、約50年にもわたる活動期間は、2つの時期に分けられている。

ひとつが、初録音を行った1936年から、人気陰りがみられ一時解散となった1945年まで。
このスパンを現在では「オールド・ベイシー」と呼び、レスター・ヤング(Lester Young)、ハーシャル・エバンス(Herschel Evans)らのソロバトルは高い人気を博した。

そしてもうひとつが、「ニュー・ベイシー」と呼ばれている1951年から1984年まで。
この期間ではニール・ヘフティ(Neal Hefti)や、クインシー・ジョーンズ(Quincy Jones)などの優れたアレンジャーを起用することが多くなった。
特に印象的なのが、1968年に発表した『ストレート・アヘッド』(Basie Straight Ahead)から約15年にわたり共演することとなった、サミー・ネスティコ(Sammy Nestico)とのコンビ。
ベイシーとネスティコは約15年にわたり活動を共にしその間、ビッグバンドの歴史的名盤を数多く生み出している。

『ウォーム・ブリーズ』(Warm Breeze)でも、サミー・ネスティコがを除く全ての楽曲の作曲・編曲を担当。
今作の特徴は、タイトルが示す通り暖かい雰囲気の楽曲が多いことだろう。

「列車での旅立ち」を連想させる"C.B. Express"がOPを飾り、2曲目には雨上がりが見事に表現された"After the Rain"が並ぶ。
タイトルナンバーの"Warm Breeze"は、滑らかで優しい”ベイシー・サウンド”が楽しめる一曲。
他にもアップテンポでスウィンギーな"Flight to Nassau"、デューク・エリントン(Duke Ellington)の"Satin Doll"も収録されており、バランスの取れた1枚に仕上がっている。

ベイシー作品の中では、いわゆる名曲・名演が含まれている訳でないため、そこまで注目されることのない1枚ではある。
しかし、”ベイシーらしさ”は十分に感じられる作品であり、ビッグバンド好きであれば楽しめるアルバムであることは間違いない。
また、彼はこの作品で『オン・ザ・ロード』(On the Road)に次いで2度目となるグラミー賞のひとつ「最優秀大規模ジャズ・アンサンブル・アルバム賞」も受賞している。

『ウォーム・ブリーズ』(Warm Breeze)は、カウント・ベイシーファンには必聴の一枚とも言えるだろう。

Warm Breeze - Track Listing

No.TitleWriterLength
1.C.B. ExpressSammy Nestico6:05
2.After the RainSammy Nestico, Michel Legrand7:15
3.Warm BreezeSammy Nestico6:45
4.CookieSammy Nestico4:01
5.Flight to NassauSammy Nestico4:27
6.How Sweet It IsSammy Nestico7:58
7.Satin DollDuke Ellington, Johnny Mercer, Billy Strayhorn5:56

Warm Breeze - Credit

カウント・ベイシー(Count Basie)- ピアノ
ソニー・コーン(Sonny Cohn)- トランペット
ハリー・“スウィーツ”・エディソン(Harry "Sweets" Edison)- トランペット
ウィリー・クック(Willie Cook)- トランペット
デール・カーリー(Dale Carley)- トランペット
フランク・ザボ(Frank Szabo)- トランペット
ボブ・サマーズ(Bob Summers)- トランペット
ビル.・ヒューズ(Bill Hughes)- トロンボーン
グローヴァー・ミッチェル(Grover Mitchell)- トロンボーン
デニス・ウィルソン(Dennis Wilson)- トロンボーン
ブーティ・ウッド(Mitchell "Booty" Wood)- トロンボーン
ダニー・ターナー(Danny Turner)- アルトサックス
ボビー・プレイター(Bobby Plater)- アルトサックス
エリック・ディクソン(Eric Dixon)- テナーサックス
ケニー・ヒング(Kenny Hing)- テナーサックス
ジョニー・ウィリアムズ(Johnny Williams )- バリトンサックス
フレディ・グリーン(Freddie Green)- ギター
クリーヴランド・イートン(Cleveland Eaton)- ベース
グレッグ・フィールド(Gregg Field)- ドラム
ハロルド・ジョーンズ(Harold Jones)- ドラム
サミー・ネスティコ(Sammy Nestico)- アレンジャー、指揮者

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