ペット・ショップ・ボーイズ(Pet Shop Boys)は、1981年にニール・テナント(Neil Tennant)とクリス・ロウ(Chris Lowe)が結成した音楽デュオ・グループ。
30年以上音楽界の第一線で活躍しており、これまでに数の多くの名曲を生み出してきた。
特に彼らが1985年にリリースした"West End Girls"は日本のCMソングにも使われ、2012年ロンドンオリンピックの閉会式でも選曲。
今日では、80年代のイギリス音楽を代表するバンドの一つとして数えられている。
そんなペット・ショップ・ボーイズが2002年に発表したアルバム『リリース』(Release)は、アコースティック・サウンドを基調とした暖かみのある作品だ。
本来は1999年『ナイトライフ』(Nightlife)をリリースした後、新曲を2曲ほど追加したベスト・アルバムをリリースする予定だった。
しかし、録音を重ねていくうちに新譜への想いが高まり、新しいスタジオ・アルバムを作ることを決意。
そこで完成したアルバムが『リリース』(Release)だったというワケだ。
前作『ナイトライフ』(Nightlife)は、タイトルが示す通り全編を通してダークなサウンドを基調していた。
対して今作『リリース』(Release)は、一転して晴れやかな曲ばかり。
一度も聞いたことがないはずなのに、どこか懐かしさを感じるナンバーばかりなのだ。
基本的にシンセサイザーや、打ち込みを使ったサウンドを使用するペット・ショップ・ボーイズ。
しかし、今作はザ・スミス(The Smiths)のギタリスト、ジョニー・マー(Johnny Marr)を迎え、生のアコースティック、エレキギターのサウンドを採用している。
これが今作の暖かさを生んでいる大きな要因だろう。
イギリス人ギタリストのジョニーは日本国内の知名度は高くないものの、間違いなく偉大なギタリストの一人。オアシス(Oasis)のノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)も尊敬するギタリストとして、彼の名を挙げている。
収録されている楽曲も、1980年代のブリティッシュ・サウンドが感じられる素敵なものばかり。
メロディーが美しい"Home and Dry"や"I Get Along"、ジョニーのアコギが堪能できる"London"も人気のたかいナンバーだ。
個人的に最も気に入っているのが、5曲目"E-mail"。透明感のあるサウンドと泣かせるメロディーラインがたまらない。
他にも"The Samurai in Autumn"や"Here"などペット・ショップ・ボーイズらしい楽曲も揃っており、全編を通して楽しめる作品と言えるだろう。
2002年に発表された『リリース』(Release)は、80年代特有の暖かみが感じられるアルバム。
ちなみに今作のCDジャケットは、2000-2001年の「ベストレコードパッケージ賞」にノミネートされている。
Release - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
1. | Home and Dry | Neil Tennant, Chris Lowe | 4:21 |
2. | I Get Along | Neil Tennant, Chris Lowe | 5:49 |
3. | Birthday Boy | Neil Tennant, Chris Lowe | 6:26 |
4. | London | Neil Tennant, Chris Lowe | 3:46 |
5. | Neil Tennant, Chris Lowe | 3:55 | |
6. | The Samurai in Autumn | Neil Tennant, Chris Lowe | 4:17 |
7. | Love Is a Catastrophe | Neil Tennant, Chris Lowe | 4:50 |
8. | Here | Neil Tennant, Chris Lowe | 3:15 |
9. | The Night I Fell in Love | Neil Tennant, Chris Lowe | 5:04 |
10. | You Choose | Neil Tennant, Chris Lowe | 3:10 |
Credit
ニール・テナント(Neil Tennant)- ボーカル、ギター、キーボード
クリス・ロウ(Chris Lowe)- キーボード、ドラムプログラミング
[Guest]
ピート・グレッドール(Pete Gleadall)- プログラミング、エンジニアリング (Track 4を除く)
ジョニー・マー(Johnny Marr)- ギター(Tracks 1, 2, 3, 5, 7, 9, 10)
ジョディ・リンスコット(Jody Linscott)- パーカッション(Tracks 1, 2, 3, 5, 7, 8, 9, 10)
スティーブ・ウォルターズ(Steve Walters)- ベース(Tracks 2, 3, 9)
クリス・ジッペル(Chris Zippel)- キーボード(Track 4)
リトル・マイク(Little Mike)- ギター、ベース(Track 4)