Reviews

最高のファンク集団が生んだ名盤『ライフ・オン・プラネット・グルーブ』(Life on Planet Groove)- メイシオ・パーカー(Maceo Parker)

メイシオ・パーカー(Maceo Parker)は、そのリッチでシャープなサウンドから「最もファンキーなサックス奏者」と称されている演奏家。
1964年にファンクの神様ジェームス・ブラウン(James Brown)のバンドへ加入し、徐々にバンドの中心へと成長していく。
1990年からはソロ活動を中心に行うようになり、現在までに15枚以上のアルバムをリリース。
その中でも、今回紹介する『ライフ・オン・プラネット・グルーブ』(Life on Planet Groove)は、「メイシオ・パーカーの最高傑作」と称されている、ファンクの名盤である。

このアルバムは、メイシオが1992年3月5~7日にドイツのケルンで行ったライブを音源化したもの。収録曲はメイシオ・パーカー、そして共にファンクの黄金期を築いたジェームス・ブラウンの作曲によるものが殆どだ。
8曲中、5曲がグルーブ感溢れるファンク・ナンバーで固められており、残りの3曲は心が揺さぶられるR&B調の楽曲。
この時期のメイシオはバラードやジャズの楽曲をプレイすることが多く、今回もジャズスタンダードから"Georgia on My Mind"が選曲されている。
2000年以降のメイシオの作品はファンク調の楽曲が殆ど。そのため、メイシオのスローテンポな曲を聴きたいかたにもお勧めのアルバムと言えるだろう。

そして今作が「最高傑作」と呼ばれている所以、それはメイシオを含む名プレイヤー達の演奏が最高に”グルーヴしている”からなのだ。
メンバーの大半は1991年にリリースした『モ・ルーツ』(Mo’ Roots)に参加したミュージシャン。即ち、ジェームス・ブラウン・バンド時代からの旧友が多く並んでおり、彼らもメイシオに負けず劣らずのファンキーな演奏を見せつけている。

テナーサックス・フルートを務めたのは、1960年代にジェームス・ブラウン・バンドで活動していたピー・ウィー・エリス(Pee Wee Ellis)。
1990年代からメイシオと活動を共にすることが多く、4枚のアルバムで共演している。
基本的にはサックス奏者として活躍しているが、本作では"Georgia on My Mind"でのエリスの美しいフルート・サウンドに注目してほしい。

ギターを担当しているのは、ロドニー・ジョーンズ(Rodney Jones)。
ロドニーも1990年代のメイシオの作品に多く参加しており、本作を含む4枚のアルバムで彼と共演。本業はジャズであるが、このアルバムでは16分のカッティングを中心に、ファンキーなプレイが中心となっている。

ジャズ界からはもう一名、ハモンドオルガン奏者としてラリー・ゴールディングス(Larry Goldings)が参加。ラリーはジャズ、ファンクのみならず、ポップやフュージョンも熟す器用なプレイヤーであり、ジョン・メイヤー(John Mayer)、ジョン・スコフィールド(John Scofield)らとも共演。本アルバムではバラード曲”Addictive Love”、”Children's World”、”Georgia on My Mind”などで心地よいバッキングを披露している。

トロンボーンを担当しているのは、メイシオと付き合いの長いフレッド・ウェズリー(Fred Wesley)。フレッドは1960年代からジェームス・ブラウン・バンドに所属しており、1970年代はバンドリーダーとしても活躍していたほどの実力者。
「ファンク界で最も有名なトロンボーン奏者」であるフレッドのプレイは、管楽器奏者でなくとも”必聴の価値アリ”だ。

そして最も注目してほしいのは、ケンウッド・デナード(Kenwood Dennard)のドラミング。ケンウッドのサウンドはタイトで芯があり、最高のグルーブ感を生み出している。
「彼のドラムを聴くためだけに、このアルバムを購入した」という方がいても全く不思議ではない。それほどまでに、ただひたすら”心地よい”のだ。
もちろん、もう一人のリズム隊であるヴィンセント・ヘンリー(Vincent Henry)のベースも素晴らしい。彼らの生み出す別格のリズムは、ファンク好きでなくとも心を奪われるだろう。

他にも”Addictive Love”ではキャンディ・ダルファー(Candy Dulfer)、”I Got You (I Feel Good)”、”Got to Get U”ではボーカリストとしてキム・マゼル(Kym Mazelle)がゲストとして参加。
ジャズ界、ファンク界で名を馳せた豪華な面々が揃った『ライフ・オン・プラネット・グルーブ』(Life on Planet Groove)は、現在でも「ファンク・アルバムを代表する一枚」として、愛され続けている。

Life on Planet Groove - Track Listing

No.TitleWriterLength
1.Shake Everything You've GotMaceo Parker16:15
2.Pass the PeasJames Brown, John Starks, Charles Bobbit11:12
3.I Got You (I Feel Good)James Brown3:38
4.Got to Get UMaceo Parker6:56
5.Addictive LoveThe Winans, Keith Thomas8:37
6.Children's WorldMaceo Parker6:07
7.Georgia on My MindHoagy Carmichael, Stuart Gorrell7:12
8.Soul Power 92James Brown, Maceo Parker, Bootsy Collins14:13

Life on Planet Groove - Credit

メイシオ・パーカー(Maceo Parker)- アルトサックス、ボーカル
キャンディ・ダルファー(Candy Dulfer)- アルトサックス(Track 5)
ラリー・ゴールディングス(Larry Goldings)- ハモンドオルガン
ヴィンセント・ヘンリー(Vincent Henry)- ベース、アルトサックス
ロドニー・ジョーンズ(Rodney Jones)- ギター
ピー・ウィー・エリス(Pee Wee Ellis)- フルート、テナーサックス、ボーカル
キム・マゼル(Kym Mazelle)- ボーカル(Tracks 3, 4)
ケンウッド・デナード(Kenwood Dennard)- ドラム
フレッド・ウェズリー(Fred Wesley)- トロンボーン、ボーカル

-Reviews
-, , , ,

© 2024 Tororopizza Music Magazine