タワー・オブ・パワー(Tower of Power)は、テナーサックス奏者エミリオ・カスティーヨ(Emilio Castillo)が中心となり結成したファンクバンド。
グルーヴィーなリズム隊と力のあるホーンセクションが特徴である。
1968年に活動を開始し、リリースしたアルバムは20枚以上。数々の名盤を発表し、ファンク界の歴史に名を刻んだ伝説的なグループだ。
そんなタワー・オブ・パワーが注目を浴びるきっかけとなった作品が、今回紹介する3rdアルバム『タワー・オブ・パワー』(Tower of Power)である。
1973年にリリースされた今作は、バンドとして初めて50万枚以上を売り上げ、ゴールドディスクを獲得。今作から生まれたシングルもビルボートチャートにランクインするなど、商業的にも成功を収めた。
収録されている楽曲は、まさに”タワー・オブ・パワー”らしいパワフルでファンキーな楽曲が揃っている。
1曲目を飾るのは、今作で最も人気が高いナンバー"What Is Hip?"。リズム、ホーンセクション共にオリジナリティー溢れる楽曲で「タワー・オブ・パワーと言えばこの曲」というファンも多いだろう。
特にルート音でグルーブを作るフランシス・"ロッコ"・プレスティア (Francis "Rocco" Prestia)のベースラインは圧巻の一言。
ロッコが世界で最も優れたベーシストの一人であることは、この楽曲を聞けば納得できるはずだ。
"This Time It's Real"は、シャッフル調のポップ要素を持つ楽曲。ファンクナンバーらしくはないものの、メロディーや曲の雰囲気が明るくこちらも人気の高いナンバーだ。"What Is Hip?"と同じく、こちらもシングルカットされ、チャート上位にランクインした。
シングルとしてリリースされた3枚のうち、最も好成績を収めたのがバラードナンバーの”So Very Hard to Go”。ファンクの要素はないものの、暖かみのあるサウンドとメロディーが特徴だ。
1991年にはフィリピン出身のマーティン・ニーベラ(Martin Nievera)がこの曲をカバー。
また、2016年にはビデオゲームのウォッチドッグス2(Watch Dogs 2)で使用されるなど、世代を超えて愛されている楽曲でもある。
タワー・オブ・パワーはファンク調の曲に加え、こういったバラードの楽曲を収録することも少なくない。今作で言えば、"Will I Ever Find a Love?"、"Just Another Day"もそれにあたる。
もちろん、"Get Yo' Feet Back on the Ground"や"Soul Vaccination"など、タワー・オブ・パワーらしいグルーヴィーな曲も揃っているため安心してほしい。
タワー・オブ・パワー独自のファンクとバラードのバランスを確立した作品、それがセルフタイトル・アルバム『タワー・オブ・パワー』(Tower of Power)なのだ。
Tower of Power - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
1. | What Is Hip? | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka, David Garibaldi | 5:08 |
2. | Clever Girl | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka, James Fulton | 2:56 |
3. | This Time It's Real | David Bartlett, Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 2:54 |
4. | Will I Ever Find a Love? | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 3:51 |
5. | Get Yo' Feet Back on the Ground | Willie Fulton | 4:52 |
6. | So Very Hard to Go | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 3:41 |
7. | Soul Vaccination | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 5:13 |
8. | Both Sorry Over Nothin' | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka, Lenny Williams | 3:25 |
9. | Clean Slate | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka, James Fulton | 3:22 |
10. | Just Another Day | Bruce Conte | 4:34 |
Tower of Power - Credit
グレッグ・アダムス(Greg Adams)- トランペット、フリューゲルホルン、バックボーカル
ブレント・バイアーズ(Brent Byars)- ボンゴ、コンガ
エミリオ・カスティロ(Emilio Castillo)- テナーサックス、バックボーカル
ブルース・コンテ(Bruce Conte)- ギター、バックボーカル
デイビット・ガリバルディ(David Garibaldi)- ドラム
ミック・ジレット(Mic Gillette)- トロンボーン、トランペット、フリューゲルホルン、バリトンサックス、バックボーカル
ステファン・"ドク"・クプカ(Stephen "Doc" Kupka)- オーボエ、バリトンサックス、バックボーカル
レニー・ピケット(Lenny Pickett)- クラリネット、フルート、テナーサックス、バックボーカル
フランシス・ロッコ・プレスシャ(Francis "Rocco" Prestia)- ベース
チェスター・トンプソン(Chester Thompson)- オルガン、キーボード、バックボーカル
ジェイ・スペル(Jay Spell)- ピアノ
ブルース・スタインバーグ(Bruce Steinberg)- ハーモニカ
レニー・ウィリアムズ(Lenny Williams)- ボーカル