オリジナリティーを全面に押し出した、ファンク・ロックの名盤『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』（Blood Sugar Sex Magik）- レッド・ホット・チリ・ペッパーズ（Red Hot Chili Peppers）

1983年にアメリカ合衆国ロサンゼルスにて結成されたバンド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ（Red Hot Chili Peppers）。
ファンクとロックを融合した独自のスタイルで多くのファンを熱狂させ、全世界でのトータルセールスは8000万枚以上。これまでに3度のグラミー賞に輝くなど、名実共に歴史に残るロック・バンドである。

今回紹介する『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』（Blood Sugar Sex Magik）は、そんなレッチリが5枚目にリリースしたスタジオ・アルバムだ。

前作『母乳』（Mother's Milk）は、ビルボードにて最高52位を獲得。これは、それまでのレッチリの中で最も高い順位であり、商業的にも成功した作品と言えるだろう。
しかし、このアルバムの出来にメンバーは納得していなかった。
その理由は、当時のプロデューサー、マイケル・バインホーン（Michael Beinhorn）の意向が強く反映されたから。
マイケルはギターのサウンドをヘビーメタル寄りにするよう強要したり、歌詞をラジオで流せる内容に変更するよう指示。
結果として、売り上げ枚数は増えたものの、レッチリは何度もマイケルと衝突していたそうだ。

1990年に入り、彼らは所属していたEMIを離れ、ワーナー・ブラザースと契約。プロデューサーとしてリック・ルービン (Rick Rubin)が加わることとなった。
『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』（Blood Sugar Sex Magik）のレコーディングが始まったのは、1991年4月ごろ。
リックの提案から、録音はスタジオではなく、ハリー・フーディーニ（Harry Houdini）が以前住んでいたマンションで行われることとなった。
メンバーはレコーディングが完了するまでの間、この場所に留まることを決意。
ドラムのチャドはこれに反対していたが、ジョン・フルシアンテに説得され、彼らと共にマンションに寝泊まりすることになった。
この結果、アルバムの製作は前作よりもハイペースで進んでいくことになる。

レッチリは僅か1ヶ月の間に25曲を録音。
そこから最終的に17曲を選び、1991年9月に5thアルバムとなる『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』（Blood Sugar Sex Magik）をリリースした。
「ファンク」「ロック」が見事に調和された本アルバムは、発表から僅か半年で100万枚以上の売り上げを記録。1993年には収録曲”Give It Away”がグラミー賞「最優秀ハード・ロック・パフォーマンス賞」にも選ばれ、レッチリの知名度をさらに押し上げることとなった。
『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』（Blood Sugar Sex Magik）は、2021年現在までに1,000万枚以上を売り上げており、「ロック史に残る名盤」として広く愛されている。

Blood Sugar Sex Magik - Track Listing

Blood Sugar Sex Magik - Credit

アンソニー・キーディス（Anthony Kiedis）- リードボーカル、パーカッション（Track 3）
ジョン・フルシアンテ（John Frusciante）- エレキギター、アコースティックギター、バックボーカル、シンセサイザー（Track 2）、パーカッション（Track 3）
フリー（Flea）- ベース、バックボーカル、トランペット（Track 13）、ピアノ（Track 7）、パーカッション（Track 3）
チャド・スミス（Chad Smith）- ドラム、パーカッション、タンバリン（Tracks 2, 4, 7, 9, 16）、マリンバ（Tracks 3, 16）