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90年代最高のUKロック・アルバム『モーニング・グローリー』(What's the Story Morning Glory?) - オアシス(Oasis)

イギリス国内だけでなく、世界中で爆発的人気を誇っていたロックバンド、オアシス(Oasis)
1991年に結成した彼らはその3年後、1994年に1stアルバム『ディフィニトリー・メイビー』(Definitely Maybe)をリリース。
リリース初週にして86,000枚を売り上げ、当時のデビュー・アルバムの最速売上記録を打ち立てた。
この作品は現在までに1,000万枚以上を売り上げており、現在でもブリットポップを代表する名盤として語り継がれている。

そんな前作を超えたとされれているのが、オアシスの2ndアルバム『モーニング・グローリー』(What's the Story Morning Glory?)だ。
今作はイギリス国内だけでセールス494万枚を突破しており、UKアルバム売上ランキングでは歴代5位に位置している。
この記録の凄さは、1~4位に位置している作品を見れば、更に理解できるはずだ。
下記が2020年7月時点でのイギリス国内歴代売り上げランキングとなっている。

  1. クイーン(Queen) Greatest Hits・・・630万枚
  2. アバ(ABBA) Gold: Greatest Hits・・・558万枚
  3. ビートルズ(The Beatles) Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band・・・534万枚
  4. アデル(Adele)21・・・518万枚
  5. オアシス(Oasis) (What's the Story) Morning Glory?・・・494万枚

ご覧の通り1位、2位とベスト・アルバムが並んでおり、これは商業的に成功するのは当然だろう。
3位のSgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandは、あのビートルズのアルバムの中でも名盤と呼ばれている作品。比較されるだけでも光栄だろう。

4位の21は、2011年リリースと比較的最近のアルバムだが、広い年代から愛されている作品。イギリス国内はもちろん、世界20か国の音楽チャートで1位を獲得した名盤だ。

そして5位がオアシス(Oasis)の『モーニング・グローリー』(What's the Story) Morning Glory?
1~4位のアルバムはメジャーでの露出も多いため、一般的に広く知られている作品だろう。
しかし、オアシスの今作は日本国内に限定すると一般的に広く知られているとは言い難い。
もちろんロック好きであれば知っていて当然の作品だが、知名度では1~4位の作品と比べると劣ることは確かだ。
日本国内での売り上げは僅か20万枚。しかし、全世界のトータルセールスは2,500万枚以上。これはオアシスがリリースした7枚のスタジオアルバムの中で、最も売れた作品である。

ただのロックアルバムであれば、ここまで世界各国で愛されるはずがない。
個人的に(What's the Story) Morning Glory?は、どこがビートルズの作品に通ずるものがある。
それは今作が「何年経っても、色褪せない楽曲」を多く含んでいるところだ。
ビートルズの楽曲は60年以上経った今でも、世代を超えて愛されている。
そしてこの『モーニング・グローリー』も、発売から25年以上が経過しているにも関わらず、売り上げを伸ばし続けているのだ。
更に25年、50年が過ぎようと、私はこの作品が多くの人達を魅了し続けると、確信を持って言える。

(What's the Story) Morning Glory? - Track Listing

No.TitleWriterLength
1.HelloNoel Gallagher, Gary Glitter, Mike Leander3:21
2.Roll with ItNoel Gallagher3:59
3.WonderwallNoel Gallagher4:18
4.Don't Look Back in AngerNoel Gallagher4:48
5.Hey Now!Noel Gallagher5:41
6.UntitledNoel Gallagher0:44
7.Some Might SayNoel Gallagher5:29
8.Cast No ShadowNoel Gallagher4:51
9.She's ElectricNoel Gallagher3:40
10.Morning GloryNoel Gallagher5:03
11.UntitledNoel Gallagher0:39
12.Champagne SupernovaNoel Gallagher7:27

Background & Reception

1曲目の"Hello"は"Wonderwall"のイントロから始まるアップテンポなチューン。
サウンドやリアムのボーカル共に"UKロックらしさ"に溢れた楽曲だ。
この曲の最後では「Hello, hello, it’s good to be back」という歌詞が繰り返されているが、これはゲイリー・グリッター(Gary Glitter)の"Hello! Hello! I’m Back Again"から引用されたもの。
ゲイリーはこの印税として、現在までに約1億5400万円もの大金を受け取っているらしい。

次の"Roll with It"は、1995年8月にシングルカットされ、話題となった曲。
その理由は、当時ライバル視されていたロックバンド、ブラー(Blur)が本曲の発売日に合わせシングル曲"Country House"をリリースしたためだ。
これは「ザ・バトル・オブ・ブリットポップ」と題され、イギリス国内で多いに盛り上がりを見せた。
結果は"Country House"が274,000枚、"Roll with It"が216,000枚となり、ブラーが勝利したようだ。

シングルとして400万枚以上を売り上げている人気のナンバーが、3曲目"Wonderwall"
アコースティックギターのサウンドと哀愁漂うメロディーラインが印象的な曲だ。
元は"Wishing Stone"というタイトルでノエルの元妻、メグ・マシューズ(Meg Mathews)の為に書かれたとされていた。しかし、2001年に2人が離婚してからはこの説を否定している。
2012年のロンドンオリンピックでは、ノエルを除いたメンバーで結成したバンドビディー・アイ(Beady Eye)でこの曲を演奏。それほどまでにイギリス国民に浸透している楽曲と言えるだろう。

オアシスを代表する楽曲となったのが、4曲目"Don't Look Back in Anger"だ。
UKロックを語る上で欠かせないロック・アンセムであり、ライブでは会場中の観客が熱唱する名曲中の名曲である。
日本のCMでも使用されているため、耳にしたこのある方も多いだろう。
作曲者のノエルはこの曲について「デヴィッド・ボウイの"All the Young Dudes"とビートルズをクロスされたような曲」と語っている。
また、この曲のイントロはジョン・レノンの"Imagine"と酷似しており、批判を浴びることも少なくない。この件について、ノエルは以下のように語っている。

「"Don't Look Back in Anger"のピアノリフを聞いたら、”Imagine”を知っている人はイライラするかもしれないね。でもそうじゃない人は『"Don't Look Back in Anger"のイントロだ!』って思う訳だろ?
13歳の子供がこのインタビューを見て『”Imagine”って聞いたことのない曲だな。アルバムを買いに行こう!』ってなるかもしれないぜ。
そういうもんだろ?」

"Some Might Say"は、アルバム内で一枚目にシングルカットされた楽曲。
ノエルがボーカル、ギター、ベース、ドラムを全て一人で演奏し、デモテープを作成。それをバンド用にアレンジしたものが収録された。
バンドアレンジにより、「ブリットポップ」色が強まったが、ノエル本人は自身のデモの方が好みらしい。
ノエルが作成したデモバージョンは、日本盤のシングルのみに収録。
雰囲気はオアシスの1stアルバムDefinitely Maybeに近いものを感じる。

次の"Cast No Shadow"はザ・ヴァーヴ(The Verve)のボーカル、リチャード・アシュクロフト(Richard Ashcroft)の為に書かれ、アルバム内で最後に完成した曲でもある。当時、リチャードはバンドも解散寸前、自身もドラック中毒で苦しい時期が続いていた。そんな彼を救いたいという想いから完成した楽曲だ。
"She's Electric"はレコーディングではリアムが歌っているが、キーが高いという理由から、ライブではノエルが歌うことが多いポップチューン。キンクス(The Kinks)の"wonderboy"、ビートルズ(The Beatles)の"With a Little Help from My Friends"のフレーズが使われている。

10曲目の"Morning Glory"はコカイン、ビートルズ(The Beatles)のことを歌ったとされるロックチューン。アメリカのロックバンドR.E.M.はこの曲が自身が1987年にリリースした"The One I Love"に「似すぎている」と批判した。日本では2007年にソニーのCMソングとして使用されている。
最後の"Champagne Supernova"も"Don't Look Back in Anger"と並び人気の高い曲。同じくイギリスのロックバンドであるザ・ジャム(The Jam)のポール・ウェラー(Paul Weller)がギタリスト、バッキングボーカルとして参加している。約7分30分にも及ぶ曲で、ノエル曰く「オアシスの曲で、ライブで毎晩演奏した唯一の曲」とのこと。また、ノエルが以前使っていたギブソン社傘下のギターブランドであるエピフォン(Epiphone)から、ノエルのシグネチャーモデル『Supernova』が発売されたこともある。

Morning Glory - Credit

リアム・ギャラガー(Liam Gallagher) – ボーカル、タンバリン
ノエル・ギャラガー(Noel Gallagher) – リードギター、リズムギター、バックボーカル、リードボーカル(Track 4)、ピアノ、メロトロン、Eボウ
ポール・”ボーンヘッド”・アーサーズ(Paul "Bonehead" Arthurs)– リズムギター、ピアノ、メロトロン
ポール・マッギーガン(Paul "Guigsy" McGuigan)- ベース
アラン・ホワイト(Alan White)– ドラム、パーカッション(Track 7 を除く)
トニー・マッカロール(Tony McCarroll)- ドラム(Track 7)

[Guest]
ポール・ウェラー(Paul Weller)- リードギター、バックボーカル(Track 12)

Conclusion

イギリスの国民的バンド、オアシス(Oasis)の最高傑作『モーニング・グローリー』(What's the Story) Morning Glory?は、ロック好きだけでなく、音楽を愛する全ての人におすすめ出来る作品だ。2010年2月に行われたブリットアワードでは、数えきれないアルバムの中から、「過去30年間のベストアルバム」にも選ばれている。「ロック」というジャンルを超えたこのアルバムは、イギリスの代表するアルバムのひとつと呼べるだろう。

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