エリック・クラプトン(Eric Clapton)は、世界3大ロック・ギタリストの一人として知られ、世界で最も有名なギタリストの一人でもある。エリックは1992年、MTVの人気番組MTVアンプラグド(MTV Unplugged)に出演、このライブを収録しライブ・アルバム『アンプラグド』(Unplugged)としてリリースした。
MTVは1981年に開局したポピュラー音楽のビデオクリップを流し続けるアメリカのケーブル・テレビである。
1989年からはファンキー・キングス(Funky Kings)のジュールズ・シアー(Jules Shear)の提案により、「アーティストが電子楽器を使用しない、アコースティック楽器」を基調としたライブ番組MTVアンプラグド(MTV Unplugged)を開始した。
これまでにニルヴァーナ(Nirvana)、キッス(KISS)、ノエル・ギャラガー(Noel Gallagher)など大物達が同番組に出演しているが、MTVアンプラグドをここまで有名にしたのはエリックがリリースしたアルバム『アンプラグド』(Unplugged)が寄与したところは大きいだろう。
アルバムリリース後、世界各国で爆発的に売り上げを伸ばし、カナダ、ドイツ、日本、イギリスなど複数の国で100万以上、アメリカ国内だけで1,000万枚以上の売り上げを突破した。
最終的に全世界でのトータル・セールスは2,600万枚を超え、「世界で最も売れたライブ・アルバム」としてギネス記録を樹立。
1993年に行われた第35回グラミー賞では6部門を受賞するなど、歴史に名を刻んだ作品となった。
クラプトンは1991年3月、4歳の息子コナー君を転落死により失っている。その以降、ナイロン弦のアコースティック・ギターを使用し作曲を行うことが増えていた彼にとって、アコースティック・ライブのオファーは、丁度良いタイミングだったのかもしれない。(実際のライブは1992年1月に行われた)
収録曲はクラプトンのオリジナルに加え、彼が15~16歳の頃によく聞いていたブルースナンバーが並んでいる。
クラプトンが作曲したブルースナンバー"Signe"から始まり、2曲目にはロックンロールの生みの親の一人ボ・ディドリー(Bo Diddley)の"Before You Accuse Me"を選曲。
次の"Hey Hey"は、幅広いブルーススタイルで人気を博したビッグ・ビル・ブルーンジー(Big Bill Broonzy)が作曲した、こちらもブルースナンバーだ。
4曲目には幼くしてこの世を去った息子に捧げたクラプトンの名曲"Tears in Heaven"を収録。クラシックギターの音色が美しく、そして暖かい楽曲である。
アルバム内で一番のおすすめは、クラプトン作曲の7曲目"Layla"。ボーカルを1オクターブ落とし、ジャズ風の要素が加えられたアコースティックアレンジは、原曲に負けず劣らず人気の高いナンバーとなった。
他にロバート・ジョンソン(Robert Johnson)作曲の"Malted Milk"や、彼が録音したことで有名となった"Walkin' Blues"などブルースの名曲が盛沢山。
ちなみにクラプトンはロバート・ジョンソンについて「最も影響を受けたギタリスト」と語っている。
サポートメンバーもネイザン・イースト(Nathan East)、チャック・リーヴェル(Chuck Leavell)、スティーヴ・フェローン(Steve Ferrone)など、超一流のプレイヤー達が勢ぞろい。
ブルース好きにはもちろん、アコースティックなサウンドを好む方には是非お勧めの一枚だ。
Unplugged - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
1. | Signe | Eric Clapton | 3:13 |
2. | Before You Accuse Me | Bo Diddley | 3:44 |
3. | Hey Hey | Big Bill Broonzy | 3:16 |
4. | Tears in Heaven | Eric Clapton, Will Jennings | 4:36 |
5. | Lonely Stranger | Eric Clapton | 5:27 |
6. | Nobody Knows You When You're Down and Out | Jimmy Cox | 3:49 |
7. | Layla | Eric Clapton, Jim Gordon | 4:46 |
8. | Running on Faith | Jerry Lynn Williams | 6:30 |
9. | Walkin' Blues | Son House | 3:37 |
10. | Alberta | Huddie William Ledbetter | 3:42 |
11. | San Francisco Bay Blues | Jesse Fuller | 3:24 |
12. | Malted Milk | Robert Johnson | 3:36 |
13. | Old Love | Eric Clapton, Robert Cray | 7:54 |
14. | Rollin' and Tumblin' | Muddy Waters | 4:11 |
Credit
エリック・クラプトン(Eric Clapton)- リードボーカル、ギター
アンディ・フェアウェザー・ロウ(Andy Fairweather Low)- アコースティックギター、マンドリン、ハーモニカ
チャック・リーヴェル(Chuck Leavel)- アコースティックピアノ、ハーモニウム
ネイザン・イースト(Nathan East)- ベース
スティーヴ・フェローン(Steve Ferrone)- ドラム、パーカッション
レイ・クーパー(Ray Cooper)- パーカッション
ケイティ・キッスーン(Katie Kissoon)- バックボーカル
テッサ・ナイルズ(Tessa Niles)- バックボーカル