ジョン・フルシアンテ(John Frusciante)、デレク・トラックス(Derek Trucks)と共に、「現代の3大ギタリスト」の一人として数えられているジョン・メイヤー(John Mayer)。ギターの腕もさることながら、歌唱力や作曲能力も超一流で、これまでに沢山のヒット・チューンを生み出している。様々な才能を持つジョンメイヤーだが、今回はそんな彼の魅力が存分に詰まったライブ・アルバム『ウェアー・ザ・ライト・イズ』(Where the Light Is: John Mayer Live in Los Angeles )を紹介したい。
この作品は2007年12月8日、ロス・アンジェルスのノキア・シアターで行われたコンサートが収録されたもので、収録曲は『コンティニュアム』(Continuum)から選ばれたものが多い。それに加え、ジョンがそれまでに発表した曲の中から、人気の高い楽曲が演奏されており、ある意味「ベスト・アルバム」とも呼べる作りになっているのだ。
ステージはアコースティック・トリオ・バンドと3つのセットに分けられ、収録曲は合計22曲とボリュームも満点。
弾き語り、ブルースロック、ポップ・ミュージックありと、どのファン層も楽しめる楽曲が並んでいるのだ。
また、ジョン自身も脂の乗っていた時期で、歌もギターも調子は抜群。
このアルバムを"ジョン・メイヤーの最高傑作"に挙げるファンが多いことも、納得の内容となっている。
商業的にも成功しており、ビルボードのアルバム・チャートで5位を獲得。アメリカ国内だけでも100万以上の売上枚数を突破し、プラチナディスクにも認定されることとなった。
また、この作品はDVD・Blu-rayも発売されており、こちらも売り上げチャート上位を獲得。2009年にはグラミー賞のひとつ「最優秀長編ミュージックビデオ賞」にノミネートされている。
サポートメンバーも超一流のメンバー達ばかり。
まずはジョン・メイヤー・トリオのスティーヴ・ジョーダン(Steve Jordan)、ピノ・パラディーノ(Pino Palladino)。
彼らに加え、今回はポール・マッカートニーのセッションギタリストとして活躍したロビー・マッキントッシュ(Robbie McIntosh)、ジャズ・サックス奏者のボブ・レイノルズ(Bob Reynolds)らも参加している。
実力派ミュージシャン達のサウンドにも、是非注目してほしい。
Where the Light Is - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
[Acoustic Set] | |||
1. | Neon | John Mayer, Clay Cook | 5:55 |
2. | Stop This Train | John Mayer | 5:00 |
3. | In Your Atmosphere (LA Song) | John Mayer | 5:45 |
4. | Daughters | John Mayer | 5:04 |
5. | Free Fallin' (Tom Petty cover) | Tom Petty, Jeff Lynne | 4:23 |
[Trio Set] | |||
6. | Everyday I Have the Blues | Blues standard | 4:14 |
7. | Wait Until Tomorrow (The Jimi Hendrix Experience cover) | Jimi Hendrix | 4:19 |
8. | Who Did You Think I Was | John Mayer | 4:23 |
9. | Come When I Call | John Mayer | 3:23 |
10. | Good Love Is on the Way | John Mayer, Steve Jordan, Pino Palladino | 4:18 |
11. | Out of My Mind | John Mayer | 10:10 |
12. | Vultures | John Mayer, Steve Jordan, Pino Palladino | 5:19 |
13. | Bold as Love (The Jimi Hendrix Experience cover) | Jimi Hendrix | 8:38 |
[Band Set] | |||
14. | Waiting on the World to Change | John Mayer | 3:50 |
15. | Slow Dancing in a Burning Room | John Mayer | 5:19 |
16. | Why Georgia | John Mayer | 4:27 |
17. | The Heart of Life / In Repair | John Mayer | 3:40 |
18. | I Don't Need No Doctor (Ray Charles cover) | Joseph Armstead, Nick Ashford, Valerie Simpson | 6:02 |
19. | I've Got Dreams to Remember (Otis Redding cover) / Gravity | Otis Redding, Zelma Redding, Joe Rock/Mayer | 9:41 |
20. | I Don't Trust Myself (With Loving You) | John Mayer | 8:44 |
21. | Belief | John Mayer | 6:03 |
22. | I'm Gonna Find Another You | John Mayer | 5:40 |
Background & Reception
ライブのOPを飾るのは、ジョン・メイヤーのデビュー・アルバム『ルーム・フォア・スクエアズ』(Room for Squares)の楽曲”Neon”。
原曲はエレキギターを使用し、バンド・スタイルで演奏しているが、このライブではアコースティック・ギターとボーカルのみの弾き語りスタイル。
これが最高にクールで、原曲よりもこちらのバージョンの方が知名度が高いほどだ。
イントロ、バッキング、ギターソロなどアコギの特性を活かしたテクニックを披露しており、ギタリストであれば必聴のナンバーだ。
2曲目に並んだ”Stop This Train”は、2006年にリリースされた『コンティニュアム』(Continuum)からの選曲。こちらも弾き語りスタイルでの演奏となっている。こちらは原曲に近い演奏をしており、心地よいアコギのアルペジオが非常に魅力的だ。
本来はピアノ・ソロの部分を口笛で演奏していたり、ボーカル・ラインをアレンジしている部分にも注目してほしい。
スタジオ・アルバムに含まれておらず、このライブ・アルバムにのみ収録されている楽曲が3曲目"In Your Atmosphere"だ。アコースティック・ギターのサウンド、メロディー・ライン共に美しく、どことなく切ないジョン・メイヤーらしいナンバー。
なぜスタジオ版の音源が無いのか不思議でならない良曲である。
アコースティック・セットのラストを飾るのは、『ヘヴィアー・シンクス』(Heavier Things)から選出された名曲”Daughters”。
心を動かされるボーカルのメロディー・ラインを聴けば、ジョンが優れたボーカリストであることは疑いようがない。
また、この曲にはロビー・マッキントッシュがスライド・ギターで参加している。
ロビーが本来はピアノ・ソロの箇所をギターソロで演奏しているのだが、これも素晴らしい。ジョンのボーカルに負けないほどの存在感を放っており、楽曲を大いに盛り上げている。
“Neon”と同じく、この曲もオリジナルを超えてしまっているのでは?と思う程の完成度だ。
ちなみにこの曲はジョン・メイヤーの楽曲の中でも非常に人気が高く、YouTubeに投稿されているMVの再生回数は2,000万回を突破している。
トリオ・セットでは、ブルース曲を中心に演奏しており、ギタリストにお勧めのナンバーが揃っている。
B.Bキングの名曲”Everyday I Have The Blues”から始まり、次曲にはジミ・ヘンドリックスのカバー”Wait Until Tomorrow”を収録。
8曲目には2005年にリリースした『トライ』(Try!)から自身のオリジナル曲”Who Did You Think I Was”を選曲している。スティーヴィー・レイ・ヴォーンが現世に蘇ったかのようなフレーズを連発しており、白人ブルース・ロックが存分に楽しめる楽曲だ。
他にもシンプルなブルース進行の楽曲”Come When I Call”や、スローブルースの”Out of My Mind”、『コンティニュアム』(Continuum)からの名曲”Vultures”など、ギタリスト向けの楽曲がズラリと並んでいる。
トリオ・セットのラストには、ジミ・ヘンドリックスの”Bold as Love”を『コンティニュアム』のスタジオ版に近いスタイルで演奏。「ライブ版の方が良いかも?」と思わせてくれるのは、ジョン・メイヤーが本物のミュージシャンであるが故だろう。
バンド・セットでは、原曲に忠実な演奏を行っているため、簡単な曲紹介のみ行うことにしょう。
1曲目には『コンティニュアム』から名曲”Waiting on the World to Change”を選曲。原曲に忠実な演奏だが、ギターソロではライブらしいアレンジを披露している。
グラミー賞のひとつ「最優秀男性ポップボーカルパフォーマンス賞」を受賞した曲でもあり、人気の高いナンバーだ。
バンド・セットも『コンティニュアム』(Continuum)からの選曲が非常に多く、”Waiting on the World to Change”、”Slow Dancing in a Burning Room”、”The Heart of Life / In Repair”、”I Don't Trust Myself (With Loving You)”、”Belief”、”I'm Gonna Find Another You”がそれに当てはまる。
どの楽曲もアレンジはオリジナルに近いため、詳細についてはこちらの記事を参考にしてもらいたい。
Where the Light Is - Credit
ジョン・メイヤー(John Mayer)- ギター、ボーカル
ピノ・パラディーノ(Pino Palladino)- ベース
スティーヴ・ジョーダン(Steve Jordan)- ドラム
デヴィッド・ライアン・ハリス(David Ryan Harris)- ギター、タンバリン、バックボーカル
ロビー・マッキントッシュ(Robbie McIntosh)- ギター、スライドギター
デイビット・ラブルイエール(David LaBruyere)- ベース
J・J・ジョンソン(J.J. Johnson)- ドラム
ティム・ブラッドショー(Tim Bradshaw)- キーボード、スチールギター、バックボーカル
ボブ・レイノルズ(Bob Reynolds)- テナーサックス、ソプラノサックス
ブラッド・メーソン(Brad Mason)- トランペット、フリューゲルホルン
チャド・フランスコヴィアク(Chad Franscoviak)- プロダクション、ミックス
エド・チャーニー(Ed Cherney)- エンジニアリング
ラン・シャルボノー(Lan Charbonneau)- エンジニアリング
アンソニー・カタラーノ(Anthony Catalano)- プロツールエンジニアリング
マーティン・プラドラー(Martin Pradler)- ミックス
ジェレミー・アンダーウッド(Jeremy Underwood)- ミックスアシスタント
スティーブン・マーカソン(Stephen Marcussen)- マスタリング