アルバムの総売上枚数は1,000万枚を超え、グラミー賞も獲得している現代の世界3大ギタリストの一人、ジョン・メイヤー(John Mayer)。
ブルース・ロックを基調にポップな要素も含む彼の楽曲は、世界各国にファンを持ち、ギタリスト以外からも人気の高いミュージシャンだ。
今回紹介する『トライ』(Try!)は、そんなジョンが初めてリリースしたライブ・アルバム。2005年に発表され、アメリカ国内でのセールスは50万枚を突破。第49回グラミー賞ではベスト・ロックアルバムにもノミネートされた良作である。
楽器の編成はギター・ベース・ドラムのシンプルなトリオ編成。
ベーシスト、ドラマーとしてはそれぞれピノ・パラディーノ(Pino Palladino)、スティーヴ・ジョーダン(Steve Jordan)が選出された。
彼らのプレイは派手さはないものの、深みと重厚感のあるサウンドはまさに職人芸と呼ぶにふさわしい。
今作の名義はジョン・メイヤーではなく、ピノとスティーヴを含んだジョン・メイヤー・トリオ(John Mayer Trio)。
このアルバム以降、この三人でジョン・メイヤー・トリオとしての活動を開始し、ライブやアルバムの制作を行うようになったのだ。
収録曲はブルース音楽を中心に構成されており、カバー曲もいくつか含まれている。
1曲目は本アルバムで初めてレコーディングされたブルース・ロックナンバー"Who Did You Think I Was"。ジョン・メイヤー・トリオ(John Mayer Trio)として初めてシングルカットされた曲でもあり、ミュージックビデオも作成された。
ちなみにこのビデオでジョンが使用しているギターはJimi Hendrix Monterey Pop Stratocaster。この楽器は1967年にジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)が燃やしたギターのシグネチャーモデルであり、1997年に210本限定で生産されたものだ。
"Good Love Is on the Way"はトリオで作曲を行った楽曲。こちらも"Who Did You Think I Was"と同じギタリストらしいブルース・ロックナンバーだ。
3曲目にはジョンが好んでカバーしているジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)の楽曲"Wait Until Tomorrow"を収録。本家とは違った良さのあるアレンジに仕上がっている。
4曲目、5曲目に並んだ"Gravity"、"Vultures"はこのアルバムで初披露となった楽曲達だ。
この2曲のスタジオ録音バージョンは、ジョンが翌年にリリースした『コンティニュアム』(Continuum)に含まれている。スローバラードの"Gravity"と、跳ねたリズムが特徴的な"Vultures"はどちらも人気の高い楽曲となり、この後のライブでも良く演奏されている。
他にもレイ・チャールズ(Ray Charles)の楽曲"I Got a Woman"やグラミー賞を受賞したジョンの名曲”Daughters”も収録。
ブルース・ロック好きはもちろん、オシャレなギターサウンドやポップを愛する人でも楽しめる作品に仕上がっている。
Try! - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
1. | Who Did You Think I Was | John Mayer | 3:09 |
2. | Good Love Is on the Way | John Mayer, Steve Jordan, Pino Palladino | 4:50 |
3. | Wait Until Tomorrow | Jimi Hendrix | 4:14 |
4. | Gravity | John Mayer | 5:49 |
5. | Vultures | John Mayer, Steve Jordan, Pino Palladino | 5:19 |
6. | Out of My Mind | John Mayer | 7:39 |
7. | Another Kind of Green | John Mayer | 4:39 |
8. | I Got a Woman | Ray Charles, Renald Richard | 7:40 |
9. | Something's Missing | John Mayer | 6:56 |
10. | Daughters | John Mayer | 6:14 |
11. | Try | John Mayer, Steve Jordan, Pino Palladino | 6:52 |
Try! - Credit
ジョン・メイヤー(John Mayer)- ボーカル、ギター
ピノ・パラディーノ(Pino Palladino)- ベース、バックボーカル
スティーヴ・ジョーダン(Steve Jordan)- ドラム、パーカッション、バックボーカル
チャルマーズ・アルフォード(Chalmers Alford)- ギター(Track 11)