ラウル・ミドン(Raul Midon)はアメリカ・ニューメキシコ出身のシンガー兼ギタリスト。未熟児だったため、産まれた時から全盲ではあったが、4歳からドラム、その後はギターを習い始め、音楽の道に進み始める。
1990年からはプロとしての活動を開始し、90年代はアレハンドロ・サンス(Alejandro Sanz)シャキーラ(Shakira)などのレコーディングやライブに参加。2002年にニューヨークへ移住後、ソロ・シンガーとしての活動を中心に行い始め、2005年にはユニバーサル・ミュージック傘下のマンハッタン・レコーズとの契約を獲得する。
そして同年の5月、39歳にして念願のデビュー・アルバム『ステイト・オブ・マインド』(State Of Mind)をリリース。
ソウルフルな歌声と躍動感溢れるギターをベースに、R&B・ソウル・フォーク・ラテンなどの要素がミックスされた今作は高く評価され、ラウル・ミドン(Raul Midon)の名を一躍世界的に広めることとなった。
では今作、どのような方におすすめできるか。
まず、アコースティックなサウンドが好みの方は必ず気に入る作品だろう。
アコースティックギターを中心に、パーカッションやアコースティックベースなどが使用されている為、"生音"を中心に楽曲が構成されている。また、ラウルはギター自体もパーカッションのように叩いて鳴らす技法も使用しており、特にアコギ弾きには是非おすすめのアルバムでもある。
リズミカルなバッキングから始まる1曲目"State Of Mind"を聞けば、ラウルがギタリストとしても一流のアーティストであることが分かるだろう。また彼は口でトランペットの音を鳴らす能力があり、それはこの曲のソロ部分で聞くことが出来る。
ジェイソン・ムラーズ(Jason Mraz)をフューチャーした"Keep on Hoping"はラテンミュージックフォークの要素がミックスされたポップなナンバー。この曲からラウルの音楽を聞き始めた人も多いのではないだろうか。
7曲目"Expressions of Love"では同じく全盲のスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)がゲストとして参加しており、お得意のハーモニカを演奏している。
他にもダニー・ハサウェイ(Donny Hathaway)に捧げた"Sittin' in the Middle"やアフリカンポップ的な楽曲"I Would Do Anything"など、アルバムを通して飽きさせない構成になっており、ラウル・ミドンの幅広い音楽性が提示された作品でもあると言えよう。
全盲ということを全く感じさせないギターテクニックと、素晴らしい歌声を持つラウル・ミドン(Raul Midon)のデビュー作『ステイト・オブ・マインド』(State Of Mind)は"生楽器の良さ"が存分に発揮された、歴史に残る一枚だろう。
State Of Mind - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
1. | State of Mind | Raul Midon | 3:25 |
2. | If You're Gonna Leave | Raul Midon | 3:51 |
3. | Keep on Hoping | Raul Midon, Jason Mraz | 4:32 |
4. | Mystery Girl | Raul Midon | 4:23 |
5. | Waited All My Life | Raul Midon | 4:36 |
6. | Everybody | Raul Midon | 4:01 |
7. | Expressions of Love Feat. Stevie Wonder | Raul Midon | 2:49 |
8. | Sittin' in the Middle | Raul Midon | 3:32 |
9. | Suddenly | Raul Midon | 3:32 |
10. | Never Get Enough | Raul Midon | 3:45 |
11. | Sunshine (I Can Fly) | Raul Midon, Vega | 4:33 |
12. | I Would Do Anything | Raul Midon | 3:42 |
13. | All in Your Mind | Raul Midon | 3:22 |
State of Mind - Track Listing
ラウル・ミドン(Raul Midón)- ボーカル、アコースティックギター
ジェイソン・ムラーズ(Jason Mraz)- ボーカル、アコースティックギター(Track 3)
トレインチャ(Traincha)- ボーカル(Track 14)
スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)- ハーモニカ(Track 7)
グレゴア・マレ(Gregoire Maret)- ハーモニカ(Track 11)
デイヴ・ヴァレンティン(Dave Valentine)- フルート(Track 12)
ジョー・マーディン(Joe Mardin) - アコースティックピアノ(Track 3)
シェドリック・ミッチェル(Shedrick Mitchell)- ハモンドオルガン(Tracks 1, 5, 6, 10)
ロナルド・クール(Ronald Kool)- キーボード(Track 14)
ステフォン・ハリス(Stefon Harris)- ビブラフォン(Track 7, 13)
ジェイソン・ムラーズ(Jason Mraz)- アコースティックギター(Track 3)
リチャード・ハモンド(Richard Hammond)- アコースティックベース(Tracks: 4, 5, 9, 10)
エリック・レヴィス(Eric Revis)- アコースティックベース (Track 11)
ジョナサン・マロン(Jonathan Maron)- エレキベース(Track 2)
ジェリー・バーンズ(Jerry Barnes)- エレキベース(Tracks 6, 8, 14)
ジョー・マーディン(Joe Mardin)- ドラム(Track 9)
ダニエル・サドウニック(Daniel Sadownick)- パーカッション(Tracks 2, 4 to 6, 8 to 10)
シロ・バプティスト(Cyro Baptista)- パーカッション(Track 11)
サミー・フィグエロア(Sammy Figeroua)- パーカッション(Track 12)
ラルフ・マクドナルド(Ralph MacDonald)- パーカッション(Track 14)
ジョー・マーディン(Joe Mardin) - ボディパーカッション (Track 10)
リサ・フィッシャー(Lisa Fisher) - バックボーカル(Tracks: 4, 7, 13)