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アコースティック・アルバムでは異例の500万枚以上を売り上げた名盤『イン・ビトウィーン・ドリームス』(In Between Dreams)- ジャック・ジョンソン(Jack Johnson)

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『イン・ビトウィーン・ドリームス』(In Between Dreams)は、ハワイ出身のミュージシャンであるジャック・ジョンソン(Jack Johnson)が2005年にリリースした3枚目のアルバムである。

2001年に1stアルバム『ブラシュファイア・フェアリーテイルズ』(Brushfire Fairytales)をリリースし、本格的にプロとしてのキャリアをスタートしたジャック・ジョンソン。
アコースティック・サウンドを基調とした心安らぐ彼の音楽は瞬く間に世界へ広がり、デビュー・アルバムながらその売り上げ枚数は100万を突破。
2003年には2枚目となるアルバム『オン・アンド・オン』(On and On)を発表し、こちらも150万枚以上のトータルセールスを記録するなど一気にスターの仲間入りを果たした。

今回紹介する3rdアルバムは『イン・ビトウィーン・ドリームス』(In Between Dreams)は、その2年後となる2005年に発表した作品。
2021年現在、ジャックは計7枚のアルバムをリリースしているが、今作は「ジャック・ジョンソンの最高傑作」と称されているアルバムである。

これまでの作品同様、アコースティックなサウンドを基調としており、「癒し系」の音楽を好む方であれば間違いなく気に入る作品だろう。
1作目、2作目と大きく違うのは、キャッチーでメロディアスな楽曲が多く含まれていることだ。
ジャックの音楽は元々聞く人を選ばない素直なサウンドではあるが、今作ではさらにメロディーに磨きがかかっており、「最高のサーフ・ミュージック」に仕上がっている。

『イン・ビトウィーン・ドリームス』(In Between Dreams)は、商業的にも大きな成功を収めている。
前述したとおり、ジャックのそれまでのアルバム・セールス枚数は100~150万枚程度。この時点で、アコースティックのアルバムとしては素晴らしい数字を収めていた。
しかし、この3rdアルバムの売上枚数は脅威の500万枚を突破。これは今作のような「アコースティック・アルバム」では異例の数字だ。

音楽業界では、売り上げが伸びやすいジャンルはある程度決まっており、「ポップ」「R&B」「ヒップホップ」「ロック」などがそれに当てはまる。
『イン・ビトウィーン・ドリームス』(In Between Dreams)はポップの要素こそ持ち合わせているが、サウンドはアコースティックギターを中心とした生楽器が中心。
ジャンル分けをするのであれば「フォーク・ミュージック」「サーフ・ミュージック」が近い。
ポップやロックに対し、こういった音楽はどうしても市場が小さいため、売り上げ枚数が伸びずらいのだ。
にもかかわらず『イン・ビトウィーン・ドリームス』(In Between Dreams)は、アメリカ国内のみで200万枚以上、イギリス・ヨーロッパで350万枚以上を売り上げを突破。
これは一重に、このアルバムが"ジャンルを超えた素晴らしい作品"である他ならない。

生楽器のサウンドを好む方はもちろん、サーフ・ミュージックや癒し系の音楽を求めている方は必聴のアルバム、それがジャック・ジョンソンの『イン・ビトウィーン・ドリームス』(In Between Dreams)だ。

In Between Dreams - Track Listing

No.TitleWriterLength
1.Better TogetherJack Johnson3:27
2.Never KnowJack Johnson3:32
3.Banana PancakesSteven Harang3:12
4.Good PeopleJack Johnson3:28
5.No Other WayJack Johnson3:09
6.Sitting, Waiting, WishingJack Johnson3:03
7.Staple It TogetherJack Johnson, Merlo Podlewski3:16
8.SituationsJack Johnson1:17
9.Crying ShameJack Johnson, Adam Topol3:06
10.If I CouldJack Johnson2:25
11.BreakdownJack Johnson, Dan Nakamura & Paul Huston3:32
12.BelleJack Johnson1:43
13.Do You RememberJack Johnson2:24
14.ConstellationsJack Johnson3:21

Background & Reception

このアルバムがここまで驚異的に売れた理由のひとつが、この1曲目"Better Together"だ。
イントロの美しいアコギのアルペジオを聞いた時点で、この曲が名曲であることがすぐに理解できるだろう。
シングルカットもされており、アメリカで50万枚、イギリスで60万枚を売り上げを記録。
このアルバムのみならず、ジャック・ジョンソンを代表する名曲中の名曲だ。彼の生んだ曲の中で最も知名度が高く、人気があるナンバー。
作詞・作曲はもちろんジャック・ジョンソンであり、ジャックは作曲の際「ホーギー・カーマイケル(Hoagy Carmichae)の"Heart and Soul"を参考にした」と語っている。

マイナー調の"Never Know"は、2曲目に収録。
1曲目と同様、こちらもアコースティック・サウンドが基調となっているが、こちらはムーディーな雰囲気も持ち合わせている。
作詞・作曲はもちろんジャック・ジョンソン。

"Banana Pancakes"は、心地よい軽さのあるポップ・フォークソング。
"Never Know"ではリズム楽器としてドラムが使用されていたが、こちらでは代わりにパーカッションを使用。
これにより、さらに生楽器らしい暖かさが強調されより「サーフ・ミュージック」としての仕上がりが感じられる。
作詞・作曲はスティーブン・ハラン(Steven Harang)によって行われた。

"Better Together"と同じく人気が高いナンバーが4曲目"Good People"
こちらもシングルカットされており、アメリカ国内で50万枚以上を売り上げ、ゴールドディスクを獲得。またビルボードの「アダルト・オルタナティブ・ソングス」チャートでは1位にもランクインしている。
ジャック・ジョンソンが作詞・作曲を行った、アコギのサウンドが心地よい肩の力が抜けたポップ・ソングだ。

落ち着いた雰囲気を持つ"No Other Way"は、5曲目に収録。
美しいメロディーラインが特徴であり、アルペジオのサウンドとジャックの歌声が見事にマッチしたフォーク・ソングだ。
弾き語りに近いスタイルのため、アコースティック・ギターの弾き語りを好む方にも是非お勧めの楽曲となっている。

"Sitting, Waiting, Wishing"は、グラミー賞のひとつ「最優秀男性ポップボーカルパフォーマンス」にもノミネートされたナンバー。
マイナー調の曲で少し切ないメロディーラインが特徴だ。
ミュージックビデオの完成度も高く、MTVビデオ・ミュージック・アワード・ジャパンでは 「最優秀楽洋楽男性ビデオ賞」にもノミネートされている。
ジャックはこの曲を友人のために作曲しており、このナンバーについて以下のように語っている。

「当時、僕の友人がミシェルって女の子と付き合いたがっていてね、その為にものすごい時間を費やしていたんだ。でも彼女は全然乗り気じゃなかった。そんな友人を元気付ける為に書いた曲なんだ。」

ジャックのエレキギターのサウンドが特徴的なのが、7曲目の"Staple It Together"
2ndアルバムに近い雰囲気もあり、アルバムの中で最もバンドサウンドが強調されたファンク・テイストのナンバーだ。
ただし、バリバリのファンク・ミュージックというわけでなく「緩さ」があり、そこがジャックの音楽らしい。
ドラムとパーカッションも楽曲に良いアクセントを加えている。

8曲目"Situations"では、アコースティック・ギターに戻り弾き語りスタイルでの演奏を見せている。
約1分程度の曲ではあるが『イン・ビトウィーン・ドリームス』(In Between Dreams)らしい暖かみの楽曲。

"Staple It Together"と同様にファンクのリズムが特徴の"Crying Shame"は、9曲目に収録。
マイナー調の少し悲しげな雰囲気を持ち、これまでの楽曲と少しテイストの違うナンバー。
短いながらもギターソロも含まれており、アルバムのよいアクセントになっている。
作曲にはジャックに加え、ドラマーのアダム・トポル(Adam Topol)も参加。

10曲目の"If I Could"は、ハワイ出身のジャックならではの緩やかな楽曲だ。
まさに「ザ・サーフ・ミュージック」といったナンバーであり、癒しを求める人にはうってつけの楽曲。
作詞作曲はジャック・ジョンソンであり、ピアニストのザック・ギル(Zach Gill)は、ここでは鍵盤ハーモニカを演奏している。

11曲目の"Breakdown"は、ジャック、ダン・ジ・オートメイター(Dan the Automator)、プリンス・ポール(Prince Paul)の共作。
ジャックが電車でフランスのパリからオスゴールへ向かっている際に曲の大半を完成させたそうだ。
この曲のミュージックビデオでは、ジャックがサーフィンをしている姿を見ることができる。
この記事ではまだ説明していなかったが、ジャックは幼い頃はプロのサーファーを目指していており、その実力も持ち合わせていたほどの腕を持つ。
しかし、17歳の時に150針を縫う大怪我を負ったことにより、サーファーの道を断念。そこから音楽家を志すことになった。

ジャックのギターとザックのアコーディオンが心地よい楽曲が12曲目"Belle"
約1分30秒と短い曲ではあるが、ヨーロッパの雰囲気を持つオシャレな楽曲だ。
素晴らしい曲が故にもう少し長く聞いていたい、そんな気持ちにさせるナンバーでもある。

13曲目"Do You Remember"ではジャックが敬愛しているボブ・ディラン(Bob Dylan)の影響を感じることが出来るカントリー・ソング。
弾き語りのスタイルでベース、ドラム、パーカッションなどは一切含まれていていない。
ボーカリストとして注目されることの多いジャックだが、この曲からギターも流暢に奏でることのできるミュージシャンであることが感じられる。

ラストを飾るのは、14曲目に収録された"Constellations"
アルバムを象徴するアコースティック・サウンドが強調されたスローテンポな楽曲だ。
アコギ好きはもちろん、癒し系の音楽を求めている方ならきっと気に入るであろうナンバー。
作詞・作曲はジャック・ジョンソンによって行われている。

In Between Dreams - Credit

ジャック・ジョンソン(Jack Johnson)- ボーカル、リズムギター
サム・ラポワント(Sam Lapointe)- リードギター
サイモン・テシエ(Simon Tessier)- ファゴット
ザック・ギル(Zach Gill)- ピアノ(Tracks 4, 6)、アコーディオン(Track 12)、鍵盤ハーモニカ(Track 10)
アダム・トポル(Adam Topol)- ドラム、パーカッション
メルロ・ポドゥルフスキ(Merlo Podlewski)- ベース
ジョナルド・ヘルナンデス(Johnald Hernandez)- バックボーカル

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