デビュー・アルバムにして最高傑作。ロック史に名を刻んだ名盤『炎の導火線』（Van Halen）- ヴァン・ヘイレン（Van Halen）

ヴァン・ヘイレン（Van Halen）は、カリフォルニア州で結成されたロック・バンドである。
8,000万枚以上のアルバムセールスを記録し、1992年にはグラミー賞「最優秀ハード・ロック/メタル・パフォーマンス賞」を獲得。
2007年にはロックの殿堂入りを果たし、名実共に歴史に名を刻んだグループとなった。
そんなヴァン・ヘイレンの最高傑作と呼ばれているのが、デビュー作である『炎の導火線』（Van Halen）だ。

きっかけとなったのは、カリフォルニアにあるナイトクラブ、ウイスキー・ア・ゴーゴー（Whisky a Go Go）で行ったライブである。

この日は偶然にもワーナーブラザーズの音楽プロデューサー、モー・オースティン（Mo Ostin）とテッド・テンプルマン（Ted Templeman）が会場を訪れていた。
ここでヴァン・ヘイレンの演奏を見た2人は、彼らに強い関心を抱き、ヴァン・ヘイレンが次に予定していたスターウッド（Starwood）でのライブにも参加。オースティンとテンプルマンは彼らのパフォーマンスに感動し、ヴァン・ヘイレンは見事ワーナーブラザーズと契約することとなった。

さっそくファースト・アルバムの制作に取り掛かった彼らだったが、レコーディングに要した期間は僅か3週間程度。
ベーシストのマイケル・アンソニー（Michael Anthony）は、当時の様子を以下のように語っている。

「俺達は録音する材料もそこまで多くなかったからね。だからライブと同じように曲を演奏してレコーディングをしたんだ。アルバムを作り終えるのに掛かった期間は数週間程度だったよ。もうひとつ言えることは、デカくてパワフルなエディのギター・サウンドにテッドが大満足してたことかな。」

そして1978年2月、ヴァン・ヘイレンはファースト・アルバム『炎の導火線』（Van Halen）をリリース。売り上げも順調でビルボード・チャートでは19位、先行シングルとして発表されていた"You Really Got Me"は、シングル・チャート36位を獲得している。
しかし、意外にもリリース当初はネガティブな評価の方が多かったようだ。

1978年、ローリング・ストーン誌のチャールズ・M・ヤング（Charles M. Young）は本作に非難と賞賛を送っている。

「3年後も経てば『炎の導火線』（Van Halen）は、胸やけのするような音楽として扱われているだろう。
しかし、エドワード・ヴァン・ヘイレン（Edward Van Halen）のリズム/リードギターは、ジミー・ペイジ（Jimmy Page）、ジョー・ウォルシュ（Joe Walsh）を思わせるほどの芸術の域に達している。また、いくつかのリフは近年に見られるエアロスミス（Aerosmith）のようだ。
ボーカルのデイヴィッド・リー・ロス（David Lee Roth）は、ハード・ロックで忘れ去られがちな歌詞をエネルギーで満たしているし、リズム隊のアレックス・ヴァン・ヘイレン（Alex Van Halen）、マイケル・アンソニー（Michael Anthony）も要点を抑えた素晴らしいプレイングだ。」

結果、『炎の導火線』（Van Halen）は売り上げを伸ばし続け、リリースから1年足らずで100万枚の売り上げを突破。1984年には500万枚を超え、1996年8月には遂にアメリカ国内のみで1,000万枚の売上枚数を記録することとなった。

現在でも、2006年にギター・ワールド史が行った「歴代最高のギターアルバム」では7位にランクイン。2013年にローリング・ストーン誌の「歴代最高のデビュー・アルバム」では27位を獲得するなど、歴史に残る名盤として愛されている作品である。

Van Halen - Track Listing

Van Halen - Credit

デイヴィッド・リー・ロス（David Lee Roth）- ボーカル、アコースティックギター（Track 11）
エドワード・ヴァン・ヘイレン（Edward Van Halen）- ギター、キーボード、バックボーカル
マイケル・アンソニー（Michael Anthony）- ベース、バックボーカル
アレックス・ヴァン・ヘイレン（Alex van Halen）- ドラム