アメリカのオークランドで1968年に結成したファンク・バンド、タワー・オブ・パワー(Tower of Power)。
現在では「ファンク界の重鎮」として、世界各国でリスペクトを集めるファンクバンドへと成長したが、その道のりは平たんではなかった。
タワー・オブ・パワーは、1973年にリリースしたスタジオ・アルバム『タワー・オブ・パワー』(Tower of Power)でゴールド・ディスクを獲得し、広く知られる存在となった。
その後はコンスタントにライブを行い、翌年には4thアルバム『バック・トゥ・オークランド』(Back To Oakland)をリリース。こちらもビルボードチャートで上位を獲得するなど、順調なキャリアを築いていった。
しかし、1975年頃から起こったディスコ・ブームとともに、彼らの人気は下降気味に。
1980年代はライブ活動やアルバムをリリースすることが困難になるほど、不遇の時期を過ごすこととなった。
転機が訪れたのは1986年。
アメリカンロックバンドヒューイ・ルイス&ザ・ニュース(Huey Lewis & The News)が『フォア!』(Fore!)をリリースした年だ。
ヒューイは同じくサンフランシスコを拠点に活動していたタワー・オブ・パワーを気にかけていた。
そして彼らを再興させるべく、タワー・オブ・パワーのホーンセクションを同アルバムのバックバンドとして起用。2年後の1988年に発表した『スモール・ワールド』(Small World)でも同メンバーを採用し、タワー・オブ・パワーは再び注目を集めることとなる。
その後、数年振りとなるアルバム『モンスター・オン・ア・リーシュ』(Monster On A Leash)、その2年後の1993年には『ティー・オー・ピー』(T.O.P.)を発表。
この2作が高い評価を獲得し、完全復活を果たすこととなった。
そんな再興したタワー・オブ・パワーが1999年にリリースしたライブ・アルバムが『ソウル・ヴァクシネイション』(Soul Vaccination: Live)だ。
これは1998年に行ったワールド・ツアーの最中、カリフォルニアで行われたライブを音源化したアルバムである。
メンバーの演奏技術も成熟しており、バンド自体も上昇気流に乗っていた時期の為、「ライブならではの勢いと楽しさ」が存分に味わえる素晴らしい作品だ。
収録曲もベスト盤のような選曲で、タワー・オブ・パワーの入門アルバムとしてもおすすめの一枚。
彼らの名を世間に知らしめた"What Is Hip?"、"So Very Hard to Go"や、復活の狼煙となった『T.O.P.』からは"Soul with a Capital 'S'"、"I Like Your Style"などが選曲されている。
サックスがフューチャーされた曲も多く、派手な楽曲が多いことも本作の特徴と言えるだろう。
リズムを支えているのは、ベーシストのフランシス・ロッコ・プレスシャ(Francis Rocco Prestia)。
ベーシストでなくとも、彼の生み出すグループ感には感服するほかない。
ファンク・ミュージック好きであれば、必ず楽しめる作品『ソウル・ヴァクシネイション』(Soul Vaccination: Live)。
タワー・オブ・パワー(Tower of Power)の生み出す重厚なサウンドを、是非ご堪能あれ。
Soul Vaccination: Live - Track Listing
No. | Title | Writer | Length |
1. | Soul with a Capital 'S' | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 5:04 |
2. | I Like Your Style | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka, Nick Milo | 3:42 |
3. | Soul Vaccination | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 4:56 |
4. | Down to the Night Club (Bump City) | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka, David Garibaldi) | 3:14 |
5. | Willing to Learn | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 6:06 |
6. | Souled Out | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka, McClain | 4:58 |
7. | Diggin' on James Brown | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 4:53 |
8. | (To Say the Least) You're the Most | Johnny "Guitar" Watson | 4:33 |
9. | You Strike My Main Nerve | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 3:55 |
10. | Can't You See (Your Doin' Me Wrong) | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 3:26 |
11. | You Got to Funkifize | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 4:46 |
12. | So Very Hard to Go | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 3:49 |
13. | What Is Hip? | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka, David Garibaldi | 6:01 |
14. | You're Still a Young Man | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 5:59 |
15. | So I Got to Groove | Emilio Castillo, Stephen "Doc" Kupka | 6:08 |
Soul Vaccination: Live - Credit
ブレント・カーター(Brent Carter)- リードボーカル
エミリオ・カスティロ(Emilio Castillo)- テナーサックス、リードボーカル、バックボーカル(Tracks 4, 7, 11)
ステファン・クプカ(Stephen Kupka)- バリトンサックス
ノーバート・シュタッヘル(Norbert Stachel)- テナーサックス、テナーサックスソロ
ジェシー・マグワイア(Jesse Mcguire)- トランペット、トランペットソロ(Tracks 5, 9)
ビル・チャーチビル(Bill "Churchy" Churchville)- リードトランペット(Tracks 5, 10, 11)、トランペットソロ(Track 13)フリューゲルホルン(Track 12)
フランシス・ロッコ・プレスシャ(Francis Rocco Prestia)- ベース
デイビット・ガリバルディ(David Garibaldi)- ドラム
ジェフ・タメリエ(Jeff Tamelier)- ギター、バックボーカル
ニック・ミロ(Mick Milo)- キーボード、バックボーカル